| 2010年09月13日(月) |
「ゆうやけ色 オカンの嫁入り・その後」 |
咲乃月音著「ゆうやけ色 オカンの嫁入り・その後」
余命宣告されたオカンが、娘の自分と大して歳の変わらない男(わたしは捨て男と呼んでいる)を拾って帰り、結婚してもうた。
本気なん?
と、わたしも反対や戸惑いも、なんやわやくちゃしていたんもすっかり落ち着いてきて、そしたらなんと、捨て男のオカンが、捨て男を拾いにきました、て突然現れてん。
おまけに、わたしが付き合ってる年上のセンセイがわたしに突然、別れよう、なんて言ってきてん。
もう、みんな、むっちゃくちゃや!
捨て男はいつもみたいにヘラヘラ笑ってるし、サク婆はお好み焼きの秘伝の味をわたしやオカンにも教えなかったのに、捨て男のオカンに教えてまうし。
ハチはふりふりと嬉しそうに尻尾を振って、なあ散歩連れてってえなお姉ちゃん、て無邪気に、そんなわたしを癒してくれる。
来年の桜は、きっとオカンと見られへん。 悲しいけれど、悔しいけれど、認めたないけれど。
だけど、捨て男とサク婆と、そしてセンセイと、みんなで、見に行こ。
お姉ちゃんボクを忘れんとってなぁ、と抗議しているハチも、なあ?
わんっ、と足に絡まりながら、すりすりしてくる。
そや。
桜と一緒に、きっと「おかえり」て、言いたいなあ。 桜はオカンの匂いやねんもんなあ。
……そんなお話である。
神保町ではなく有楽町の三省堂にゆき、つい手にしてみて、あらよと言う間に、読み切ってしまった。
なかなか、ほのぼのじんわりさせてくれる作品である。
センセイ、と言うと川上弘美さんの「センセイの鞄」を思ってしまう。
まさに、その通りなのである。
だからか、すうっと、重なり合って、溶け合って、吸収してしまう。
月子とツキコ。 医者のセンセイと恩師のセンセイ。
わたしもぜひ、センセイとなって、月子、できればツキコさんと出会いたいものである。
私は、確実にあなたより先にいってしまいます。 そんな身分で、あなたとあなたのこの先を、どう保証してあげられるというのですか。
ふたりとも、やはり似たようなことを考える。
それならそれで構いません。 それまでを、センセイとずっと一緒に過ごせないことのはうが、先にいなくなられることよりも耐えられません。
といったようなことをツキコさんは、言う。
会いたい、今すぐ会いたい。 センセイが好きです。
本作品の月子は、真っすぐに、要領を得ないが、だからこそ伝えたい思いを、伝える。
さすがに、このあたりはふたりの月子とツキコに違いがある。
しかしどちらも、嫌いではない。
ツキコさんの現れるを待ちながら、暮らすのも悪くはない。
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