| 2010年08月19日(木) |
まじでこ(うか)いする五秒前? |
廁のついでに、我が社があるアトリウムを挟んだ向こう側に、大分県を訪ねてみたのである。
大分県は明日か明後日かはたまたいったいいつからか、わたしの関わっているBIMの仕事を手伝うがために出向することになっているのである。
しかしいつになるのか見通しが立たない。 そこで本人にズバリ訊いてみようと思ったのである。
で、いつからになりそうなん? さあ、いつからだと思いますか?
質問に質問で返すとは、おぬしは合コンの女子か。 ぷしゅうと気が抜けた海老蔵のような顔をして、おのれその目玉に目薬を刺してやろうか。
ふんぬう、と鼻息を吐き出したときである。
「竹さん。広末涼子が恋人とデート、してたらしいですよ」
大分県の隣の席にいる涼君が、涼しげに目を細めて、ふふんと振り向いた。
なにっ。いつのデートだ。 先週じゃないですかね。 撮られた覚えはないっ。 あるわけないじゃないですか。北海道で、らしいですよ?
ぐぬぬぬ。 ぐうの音は、出ない、いや出さぬ。
マジで。 ええ。 これから。 はあ。 五年、待つ。 ……はい?
まさか、曲名に掛けたんじゃあ、ないですよね?
大分県が、ギョロリとニラミをきかせる。
ワン、ツー、スリーフォーファイブ……。 (リフレイン)
とってもとっても とってもとっても
……。
そこから先は、ゴクリと飲み込んだのである。
大分県の反対側の隣の席にいる馬場さんが、顔だけを向けて、にやにやわたしを見守りだしたのである。
よさこい(夜さ(が)濃い) ソーラン節(遭難(した)武士)
武士は食わねど高楊枝。
「こぉーんな、ちっちゃな爪楊枝だけどね」
馬場さんが親指と人差し指がくっつかんばかりの仕草で、それを表す。
はっはっはっ。
大分県がギョロギョロ笑う。
シッシッシッ。
涼君がやにさげて目尻で笑う。
クレアラシルで、泣き顔を洗い流そう。
WASABIが、ツンとしみただけだいっ。
わたしは捨て台詞を残して足早にその場を立ち去ったのである。
「俺、プライベートで街歩いてる広末涼子を見たことありますよ」
円部が、そんなことがあった直後のわたしと知らず、へへんと聞かせる。
お、お、おれだって、ひろ……。 ……ヒロシに会ったことあるもんねっ。
「芸人の、ですか」
それはそれでレアですね、と慰めだす。
なして、いつもいつも間が悪かとですか? 昼休みの牛丼屋で、後で頼んだわたしの牛丼単品が、向かいの相席のおじさんが先に頼んでいた牛丼サラダセットより随分先にきて。 気まずさにずっとうつむいたまま食べきったとです。 紅しょうがも七味も、ふりかける余裕なんかなかったとです……。 ヒロシです、ヒロシです、ヒロシです……。
好きは好きだが、本当はそこまで大好きなわけではなかとです。 好きなのは小西さんや蒼井さんや宮崎さんや、和の凛々しさがある方とです。
ヒロシです、ヒロシですヒロシです……。
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