「隙 間」

2010年07月27日(火) 「マイレージ、マイライフ」

「マイレージ、マイライフ」

をギンレイにて。
ジョージ・クルーニー主演。

この作品は、できれば是非観たいと思いつつ、見逃してしまった作品であった。

なにせ監督が、

「サンキュー・スモーキング」

で反喫煙社会のアメリカで煙草業界の敏腕スポークスマンを通してその矛盾と現実問題を軽快なテンポと台詞回しで描き、営業マンや「人と話す仕事」の者は是非この作品から、得難きものを得られるだろう、といわれ。

「JUNO」

で未成年者の妊娠をやはり軽快に、同世代の同じ感覚や目線、現実、本音を描いて共感の嵐を招き、時期悪く、ハイスクールで起きた未成年者の計画的同時妊娠デモと関連付けされてしまったり。実際は、ただのこじつけ、である。

そんな名監督ジェイソン・ライトマンの作品である。

リストラ勧告人としてアメリカ中を飛び回るライアンは、我が家は全米の空港、楽しみはマイルをとにかく貯めること。

「バックパックに入りきらない人生の荷物は背負わない」

軽くなった自分の姿を想像しましょう。

という哲学の持ち主で、公演の依頼も盛り沢山。

そんな彼に、二人の女性との出会い。

自分と同じように飛び回るキャリア・ウーマンのアレックスと、期待の新人ナタリー。

ナタリーはこれまでの、ライアンらが実際に飛び回って本人に直接会ってリストラを告げる方法を、ネットカメラによるシステムで大幅な経費削減ができる、と売り込んできたまさに現代の怖いもの知らず。

君は現実を知らない。
我々は、不安や悲しみを和らげる仕事なんだ。
画面越しに、それができるのか?

実地研修だ。

ひとりを何より好むライアンに、ナタリーを連れて回るよう命令される。

ナタリーは一方でとても結婚願望が強く、彼氏と一緒にいるためだけに、優秀な才能実力の持ち主なのに、リストラ宣告人というこの仕事を選んだほど。

繋がりを拒む男と。
繋がりを求める女。

ライアンはナタリーといる内に、割り切った大人の付き合いのつもりだったアレックスとの関係に、変化が起きはじめる。

そしてナタリーははじめて、リストラの宣告を一人きりで任され、現実と直面する。

実の姉妹ら家族とさえ繋がりを避けてきたライアン。

繋がりを求めながらも、仕事ではひとの人生を断ち切らねばならないことに苦しむナタリー。

マイルを貯めている間は空にいる。

宙に浮いた状態。

マイルを貯めるのをやめ、地に足を着けたとき。

ライアンはどこへ向かうのだろう。



ジョージ・クルーニーが、やはり、絶妙の演技力で、魅せる。
ナタリー役のアナ・ケンドリックが、とっても、キュート。
アレックス役のヴェラ・ファーミガが、大人の女の魅力で、惹き付ける。

軽快さは、ややおとなしくなっているが。

不覚にも、途中、胸が切なさで詰まり、しゃくり上げそうになってしまった。

結婚しようが、ひとりでいようが、結局は歳をとり、死ぬだけだ。

だから結婚なんて、してもしなくても関係ない。

そんなもんだ。
だけど。
幸せだったときを振り返ってみるんだ。
一人きりだったか?

妹の結婚式当日、花婿が突然結婚をやめたいと言い出したときに、ライアンがかけた言葉。

これはわたしがしゃくり上げそうになったものではないのだが、なかなか印象的な場面であった。

お盆休みの蒸し暑い夜に、是非このジェイソン・ライトマン監督の三作品で、爽快に、痛快に、ちょっぴり切なげに、過ごしてもらいたい。


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