「幸せの隠れ場所」
をギンレイにて。
サンドラ・ブロック主演。 この物語は、実在のNFLプレーヤーと家族の、実話をもとにした物語である。
麻薬中毒の母親と引き裂かれ、孤児同然でダウンタウンで生きてきたビッグ・マイクことマイケル。 彼の図抜けた身体能力に注目し、とある高校に入学させられる。
しかし学校など行ったことがないマイケルは読み書きが苦手で、試験の成績は下の下。
身体能力をかってフットボール部に入れようとしていたコーチも、入部させるに値する成績をとってもらわなければならない。
授業をまったく理解できていない。 落ちこぼれている。
実は読み書きが苦手なだけで、口頭陳述には、大体正解を答えていることに、とある教師が気がつく。
そうして学校生活が明るくはじまろうとしていたが。
マイケルが居候していた家に居られなくなり、ひとり夜道を俯いて歩く。
さあ、サンドラ・ブロックのリー・アンが登場である。
家族でバスケットボール観戦した帰り道、車で彼とすれ違う。
娘のコリンズとやんちゃ息子のショーンJr.は、マイケルのことを知っていた。
運転する夫に引き返させ、車を降りて、マイケルを呼び止める。
帰る家はあるの? あります。 嘘はつかないで。
聞こえてない車内で、夫のショーンが妻の様子をみて、やんちゃ息子のショーンJr.に肩をそびやかしてこぼす。
何か決意した顔だ。
以降マイケルを我が家に引き取り、共に暮らしはじめる。
この夫婦が、最高に、いい。
軽快なやりとり。 言わずもがなな信頼関係。
法的後見人になってあげたい、と思いはじめたアンは、もちろん夫には相談もまだしていない。
しかし、マイケルの学校の緊急連絡先を、ショーンはいつのまにか自分たちのところに変えてくれていた。
だから愛してる。
そう言われるような夫婦関係でありたいものである。
さてやんちゃ息子のショーンJr.が、また、いい。
すっかりマイケルがお気に入りで、減らず口と生意気さとおませさで、すっかりマイケルのコーチ気取りである。
学校でマイケルを、新しい兄貴だ、と自慢気に言っている。
しかし、白人の一家に突然黒人が、しかもダウンタウン出身の落ちこぼれと見られていたマイケルが、加わったのである。
周りの偏見が、ある。
年頃の女の子であるコリンズもまた、いい。
コリンズの同級生の女子が、図書室に勉強に現れたマイケルを怪訝な目でみつめる。 コリンズはすっくと席を立ち、マイケルの隣に座り再び自分も勉強をはじめる。
みつめるマイケルに、
家でだって、一緒に勉強してるでしょ?
素晴らしい。 そうして、内気で自分なんかが、と日陰に引き籠もっていたマイケルを、家族として受け入れてゆく。
成績も徐々にあがりだし、さあ、あとはフットボールだけである。
フットボール初心者、だったのである。
せっかくのがたいのよさとパワーと身体能力を、気の弱さで発揮できない。
マイケルの卓越した能力。 それは、
「保護能力」
であった。
他人は信用しない。 だけど「家族」なら。
チームメイトを家族だと、私やショーンやショーンJr.やコリンズだと思いなさい。 そして、守って。
「イエス、マム」
一気に、開花、である。
チームメイトもコーチも、マイケルの大事な家族。
家族をまともに知らなかったマイケルが、出会えた家族。
快進撃がはじまる。
やがて大学からのスカウトの目にとまりはじめる。
これはショーンJr.がマイケルの復習のために録っていたビデオを、その圧倒的っぷりを、勝手にそれぞれの大学に送り付けていたのである。
やんちゃおませ大全開である。
あとはもう、大学をどこにするか。 そのために必要な、さらなる勉強の成績アップ。 家庭教師をつけ、彼女もまた加わって、マイケルの未来への道を、切り開いて行く。
ところが。
大学選びでひと問題が起こってしまう。
ひいては、マイケルを引き取ったのは、お金や名誉や自分たちのためだけであって、自分は家族としてではないんじゃないか、と疑問がマイケルを襲うのである。
さてさて、真相は如何に。
邦題は「幸せの隠れ場所」であるが、原題は「BLIND SIDE」つまり死角である。
フットボールのマイケルのポジションであるレフトバックは、ゲームメイクの要であるスクラムハーフというポジションの彼の死角「BLIND SIDE」を敵から守る。
つまり家族の死角を、家族の他の誰かが、守る。 守りあって、家族である。
という意味も込められてあるのだろう。
まさに、リー・アンとショーンの夫婦関係然り。 マイケルとショーンJr.の関係然り。 勝手に話を進めがちなリー・アンに応えるコリンズの母娘の関係然り。
とかく、縁があったらこの作品を観てみて、難しいことなしで楽しんでみてもらいたい。
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