「隙 間」

2010年07月25日(日) 「幸せの隠れ場所」

「幸せの隠れ場所」

をギンレイにて。

サンドラ・ブロック主演。
この物語は、実在のNFLプレーヤーと家族の、実話をもとにした物語である。

麻薬中毒の母親と引き裂かれ、孤児同然でダウンタウンで生きてきたビッグ・マイクことマイケル。
彼の図抜けた身体能力に注目し、とある高校に入学させられる。

しかし学校など行ったことがないマイケルは読み書きが苦手で、試験の成績は下の下。

身体能力をかってフットボール部に入れようとしていたコーチも、入部させるに値する成績をとってもらわなければならない。

授業をまったく理解できていない。
落ちこぼれている。

実は読み書きが苦手なだけで、口頭陳述には、大体正解を答えていることに、とある教師が気がつく。

そうして学校生活が明るくはじまろうとしていたが。

マイケルが居候していた家に居られなくなり、ひとり夜道を俯いて歩く。

さあ、サンドラ・ブロックのリー・アンが登場である。

家族でバスケットボール観戦した帰り道、車で彼とすれ違う。

娘のコリンズとやんちゃ息子のショーンJr.は、マイケルのことを知っていた。

運転する夫に引き返させ、車を降りて、マイケルを呼び止める。

帰る家はあるの?
あります。
嘘はつかないで。

聞こえてない車内で、夫のショーンが妻の様子をみて、やんちゃ息子のショーンJr.に肩をそびやかしてこぼす。

何か決意した顔だ。

以降マイケルを我が家に引き取り、共に暮らしはじめる。

この夫婦が、最高に、いい。

軽快なやりとり。
言わずもがなな信頼関係。

法的後見人になってあげたい、と思いはじめたアンは、もちろん夫には相談もまだしていない。

しかし、マイケルの学校の緊急連絡先を、ショーンはいつのまにか自分たちのところに変えてくれていた。

だから愛してる。

そう言われるような夫婦関係でありたいものである。

さてやんちゃ息子のショーンJr.が、また、いい。

すっかりマイケルがお気に入りで、減らず口と生意気さとおませさで、すっかりマイケルのコーチ気取りである。

学校でマイケルを、新しい兄貴だ、と自慢気に言っている。

しかし、白人の一家に突然黒人が、しかもダウンタウン出身の落ちこぼれと見られていたマイケルが、加わったのである。

周りの偏見が、ある。

年頃の女の子であるコリンズもまた、いい。

コリンズの同級生の女子が、図書室に勉強に現れたマイケルを怪訝な目でみつめる。
コリンズはすっくと席を立ち、マイケルの隣に座り再び自分も勉強をはじめる。

みつめるマイケルに、

家でだって、一緒に勉強してるでしょ?

素晴らしい。
そうして、内気で自分なんかが、と日陰に引き籠もっていたマイケルを、家族として受け入れてゆく。

成績も徐々にあがりだし、さあ、あとはフットボールだけである。

フットボール初心者、だったのである。

せっかくのがたいのよさとパワーと身体能力を、気の弱さで発揮できない。

マイケルの卓越した能力。
それは、

「保護能力」

であった。

他人は信用しない。
だけど「家族」なら。

チームメイトを家族だと、私やショーンやショーンJr.やコリンズだと思いなさい。
そして、守って。

「イエス、マム」

一気に、開花、である。

チームメイトもコーチも、マイケルの大事な家族。

家族をまともに知らなかったマイケルが、出会えた家族。

快進撃がはじまる。

やがて大学からのスカウトの目にとまりはじめる。

これはショーンJr.がマイケルの復習のために録っていたビデオを、その圧倒的っぷりを、勝手にそれぞれの大学に送り付けていたのである。

やんちゃおませ大全開である。

あとはもう、大学をどこにするか。
そのために必要な、さらなる勉強の成績アップ。
家庭教師をつけ、彼女もまた加わって、マイケルの未来への道を、切り開いて行く。

ところが。

大学選びでひと問題が起こってしまう。

ひいては、マイケルを引き取ったのは、お金や名誉や自分たちのためだけであって、自分は家族としてではないんじゃないか、と疑問がマイケルを襲うのである。

さてさて、真相は如何に。

邦題は「幸せの隠れ場所」であるが、原題は「BLIND SIDE」つまり死角である。

フットボールのマイケルのポジションであるレフトバックは、ゲームメイクの要であるスクラムハーフというポジションの彼の死角「BLIND SIDE」を敵から守る。

つまり家族の死角を、家族の他の誰かが、守る。
守りあって、家族である。

という意味も込められてあるのだろう。

まさに、リー・アンとショーンの夫婦関係然り。
マイケルとショーンJr.の関係然り。
勝手に話を進めがちなリー・アンに応えるコリンズの母娘の関係然り。

とかく、縁があったらこの作品を観てみて、難しいことなしで楽しんでみてもらいたい。


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