「隙 間」

2010年07月11日(日) 新型

携帯が、変わったのである。

先日入力が一時的におかしくなった予兆が、ついに新たなるものとして、あらわれたのである。

これはもはや、買い替えの啓示にほかならない。

とにかく、長時間。

もはや衝動買いの域に近いが、一応の候補は考えてあったのである。

その候補が実際は、重たかったのである。

常に片手にしているようなわたしには、軽いのがやさしいに違いなく、はたと困った。

じゃあ、これで。

富士通からついに、NECに復帰である。
復帰とはいえ、かなり昔のことなので、まったく勝手が、違う。

しかも、コネクタの接触が不良らしく、赤外線で電話帳を移すまでしか出来なかったのである。

ネタのメモやら、チクチクと自分で移し換えるのにひと苦労である。

はじめに店のひとに渡したとき、不用意にもそのまま渡してしまったのである。

待ち受け画面には、メモが常に表示されており、喪失だの性愛だの強迫観念だの児童云々だの、誤解されるに十分な語彙や箇条書きが並べたてられている。

あ……。

店のひとが、一瞬、硬直したのである。

しかし彼も、大人であった。
何事もなかったように、作業を続けてくれたのである。

弁解の余地くらい欲しかった気もするが、まあなかったのだから仕方がない。

釈然としないが、しかしそうして無事、新しい相棒とやってゆくことになったのである。

さて。

その足で三省堂へ向かう。
レジで精算していると、こちらをどうぞ、とレジの女性が箱を差し出す。

角川文庫を購入すると、ストラップをもらえるらしい。

この種類が揃っているので、選んで探しても構いません。

ほほう、どれどれ。
わたしの目が、はたと留まったのが、あった。

見間違うはずがない、真っ黒の見事にとぐろを巻いたウンコくん、である。

えっ、ウンコくんも、あるんですか。

尋ねて、しまったと後悔する。
店員とはいえ、うら若き女性である。セクハラにならぬか、ならぬとも、不快な思いを与えてしまう嫌な客に思われてしまうではないか。

「ウンコくんも、ありますよ」

ええっと、とごそごそかき回していると、これです、とわたしの前に取り出してくれたのである。

歯切れよく「ウンコくん」などと発され、そして取り出してもらいまでしたからには、それをいただかねば申し訳が立たない。

伊勢神宮にも「金のうんこ」なるものがお土産屋で売られていた記憶がある。

「じゃあ、それで」

有り難く「黒のうんこくん」ストラップを、押し戴いたのである。


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