携帯が、変わったのである。
先日入力が一時的におかしくなった予兆が、ついに新たなるものとして、あらわれたのである。
これはもはや、買い替えの啓示にほかならない。
とにかく、長時間。
もはや衝動買いの域に近いが、一応の候補は考えてあったのである。
その候補が実際は、重たかったのである。
常に片手にしているようなわたしには、軽いのがやさしいに違いなく、はたと困った。
じゃあ、これで。
富士通からついに、NECに復帰である。 復帰とはいえ、かなり昔のことなので、まったく勝手が、違う。
しかも、コネクタの接触が不良らしく、赤外線で電話帳を移すまでしか出来なかったのである。
ネタのメモやら、チクチクと自分で移し換えるのにひと苦労である。
はじめに店のひとに渡したとき、不用意にもそのまま渡してしまったのである。
待ち受け画面には、メモが常に表示されており、喪失だの性愛だの強迫観念だの児童云々だの、誤解されるに十分な語彙や箇条書きが並べたてられている。
あ……。
店のひとが、一瞬、硬直したのである。
しかし彼も、大人であった。 何事もなかったように、作業を続けてくれたのである。
弁解の余地くらい欲しかった気もするが、まあなかったのだから仕方がない。
釈然としないが、しかしそうして無事、新しい相棒とやってゆくことになったのである。
さて。
その足で三省堂へ向かう。 レジで精算していると、こちらをどうぞ、とレジの女性が箱を差し出す。
角川文庫を購入すると、ストラップをもらえるらしい。
この種類が揃っているので、選んで探しても構いません。
ほほう、どれどれ。 わたしの目が、はたと留まったのが、あった。
見間違うはずがない、真っ黒の見事にとぐろを巻いたウンコくん、である。
えっ、ウンコくんも、あるんですか。
尋ねて、しまったと後悔する。 店員とはいえ、うら若き女性である。セクハラにならぬか、ならぬとも、不快な思いを与えてしまう嫌な客に思われてしまうではないか。
「ウンコくんも、ありますよ」
ええっと、とごそごそかき回していると、これです、とわたしの前に取り出してくれたのである。
歯切れよく「ウンコくん」などと発され、そして取り出してもらいまでしたからには、それをいただかねば申し訳が立たない。
伊勢神宮にも「金のうんこ」なるものがお土産屋で売られていた記憶がある。
「じゃあ、それで」
有り難く「黒のうんこくん」ストラップを、押し戴いたのである。
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