「隙 間」

2010年07月10日(土) 「月に囚われた男」

「月に囚われた男」

をギンレイにて。

デヴィット・ボウイの息子が監督した作品である。
低予算で、しかしそうと思わせない、なかなか面白い作品であった。

地球の有限資源が底を尽き、人類は月資源によって社会を維持していた。

月資源の採掘はたったひとりの男に託され、月面の採掘基地に三年間の契約で、人工知能搭載のコンピューターだけが話し相手として作業に従事する。

もうすぐ三年間が終わる。
地球に帰れる。
妻と幼い娘に会える。

そんなとき、自分以外にはいるはずのない人間の幻覚が見え始め、やがて採掘作業中に事故に遭って気を失ってしまう。

目覚めると基地の診療室のベッドで、自分そっくりの、自分と同じ名を名乗る男と出会う。

いったいどういうことなのか。
地球に帰れるのか。

そもそも、どこかおかしい。
会社は何を隠しているのか。



なかなか興味深い作品である。

地球と直接の連絡が取れない。
通信衛星の故障で、常に録画通信だけしか許されていない。

故障ではなく、妨害電波が基地の周囲から発せられていた。

自分のクローンが、何人も、隠され保存されていた。
自分もクローン、らしい。

もうひとりの自分と協力し、妨害電波の外から直接地球の我が家に連絡してみると、三歳のはずの娘が十五歳になって出た。
妻は数年前に亡くなった、らしい。

過去の基地内の記録に、何人もの自分が帰還用カプセルに入ってゆく姿が残されていた。

クローン同士が顔を合わせることは、本来ないはずだった。

記憶の移植の、ほんのわずかなほつれ、つじつま合わせが、事実を露わにしてゆく。

経費削減。
クローンのひとつの、悪しき可能性。

現在、クローン技術の進歩により確実に、倫理問題をのぞけば実現、いや現実化できる問題である。

命と生物。

製薬会社だかどこかの生体実験で、ラットだったかの使用を廃止した。

良かれ悪しかれ、プログラムや理論上で概ね代用すべきが、正になるのかもしれない。

人工臓器か。
クローンによる生体移植用臓器か。

そんなことも、すぐに現実として、やがては倫理観による議論の的にもなりうるのである。


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