「隙 間」

2010年06月18日(金) すぐにまた会えると。再会

昼休み。

さっさといつも通りに食事にゆこうと、エレベータに乗り込んだのである。

かごには人が半分ほど乗り込んであり、おっと前について乗り込まねばわたしが閉め出されてしまう、とついていった前の女性が、くるりとこちらに振り返り、居直ったのである。

わたしがさらにわたしの後ろに乗り込むひとがいないか、背を向けて半身になったとき、チラとその女性と目があったが、だからと見つめ返すようなことはまったくなく。

しかし、いったん視界から見切ったはずが、半身のままグルリと振り返り直してしまったのである。

バッチリと目が合い、パチパチと目をしばたく。

そして半身の正面に顔を戻すと、向こうに乗り込んでいたケンくんがわたしに、ちわス、と普通に会釈する。

ああ、ういす、と反射で会釈を返す。

なにも変わったことは、ない。
いや、しかしちょっと待て。

「お疲れさまです」

その半身を向けていたわたしの横顔に、その女性が挨拶をしてきたのである。

ああ、お疲れさまです、と反射的に返してから、再び彼女の顔を、見る。

「……」

ぱちぱちくりくり。

なぜだろう。
なぜにもこんなにも。
よく知った人のように思えるのか。
これはまさか。

まさか。

「お久しぶりです」

あ。
え?
お?
あぁ〜!

やっぱり。

ようやく、わたしの中で合点がいった。
懐かしのエリーであったのである。

ケンくんをにらむ。

なぜ、ひと言もいわない。
だって、いうほどのことじゃあないかと。
いわいでかっ。

エリーとは、ここに移る前の会社で「同期四人衆」だったひとりである。

わたしが辞めるのと同じ時期に彼女は産休をとり、産後の復職の時期もなかなか決まらず、四人衆のひとりで出向にきているぐっちゃんからも、話に上らないままであった。

母になった彼女は髪をばっさり切り、やわらかくやさしい美しさのようなものをたたえていた。

「一年ぶり、くらいじゃない?」

子どもが生まれたら写メ送りますねって言ったきり、だったじゃあないか。

「だって、そのうちすぐ会うと思ったし」

なかなか意味深な発言だが、まったくもって、そのようなあいだではないのである。

真顔でサラリと、このような愛想を言ってしまえるつわもの、なのである。

そうして後で、わたしは首をひねって思い出したのである。

一年ぶりのはずがない。
まる二年ぶり、である。

元「同期四人衆」のうち三人が、ここに集まったのである。

残りひとりの古葉男だが、彼は神奈川の違う事務所に会社を移ってしまっているらしく、再会はかなり難しいのである。

しかし。

このようすだとそれもまだまだわからず、油断禁物、である。


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