桐野夏生著「東京島」
一組の夫婦と、男十数名が無人島に流れ着き、救助を待ちながら、脱出を夢見ながら、そして諦めながら、「トウキョウ島」と名付けてサバイバルがはじまる。
端的にいってしまうと、
いまいち、な感想しか抱けなかったのである。
舞台はある意味非現実的であり、しかし、現実的でもある。 しかし。 どちらもあり過ぎる、というのか、バランスがとれてしまっている、というのか。
気流で機体が揺れても、絶対に墜ちない飛行機に乗っている。
そのような感覚でしか、読み進めないのである。
求めるのは、もっと振り切れた世界である。
非現実のなかを現実的に描き、また逆に、現実的に非現実を描き、それがどちらも、差し引きゼロにはまってしまっているように感じる。
結果、どちらもはまるところが失われており、重さもなく、毒々しさも、なくなってしまっているのである。
内容や設定だけなら、桐野夏生というひとりの作品を選びはしない。 文字から沸き出してくる桐野夏生を、それだからこそ、読みたいのである。
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