「隙 間」

2010年06月04日(金) 「東京島」

桐野夏生著「東京島」

一組の夫婦と、男十数名が無人島に流れ着き、救助を待ちながら、脱出を夢見ながら、そして諦めながら、「トウキョウ島」と名付けてサバイバルがはじまる。

端的にいってしまうと、

いまいち、な感想しか抱けなかったのである。

舞台はある意味非現実的であり、しかし、現実的でもある。
しかし。
どちらもあり過ぎる、というのか、バランスがとれてしまっている、というのか。

気流で機体が揺れても、絶対に墜ちない飛行機に乗っている。

そのような感覚でしか、読み進めないのである。

求めるのは、もっと振り切れた世界である。

非現実のなかを現実的に描き、また逆に、現実的に非現実を描き、それがどちらも、差し引きゼロにはまってしまっているように感じる。

結果、どちらもはまるところが失われており、重さもなく、毒々しさも、なくなってしまっているのである。

内容や設定だけなら、桐野夏生というひとりの作品を選びはしない。
文字から沸き出してくる桐野夏生を、それだからこそ、読みたいのである。


 < 過去  INDEX  未来 >


竹 [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加