「隙 間」

2010年05月07日(金) 「カシオペアの丘で」

重松清著「カシオペアの丘で」(上・下)

やはり、重松清作品は、反則なまでに、いい。

幼い頃共に過ごした北海道の仲間たち。
炭坑で大切なひとを亡くし、失い、別れ、大人になる。

「カシオペアの丘」と仲間で呼び決めた丘は、夜の寒空を見上げボイジャーを探したあの頃皆で描いた夢の通り、遊園地になった。

別れて、出会って、結ばれて。

逃げ出して、出会って、失って。

シュンとトシとミッチョとユウジ。

ひとり娘を殺され、犯人が妻の不倫相手だったことを知らされ、娘のために妻と生きてゆくことを拒まれた夫。

炭坑火災で、町を救うため、生存者がいるかしれないが注水を決断した権力者の祖父。

祖父がその時命を奪ってしまっただろう、トシの父親。

やがて自分がいたから、トシがあんな事故にあい、一生車椅子の体にしてしまったと責め続けるシュン。

家を捨て、東京で再会してしまったミッチョと、そしてふたりの生まれることがかなわなかった小さな命。

それぞれの触れたくない、だけど本当は、一番わかってほしい、わかりたい、過去。

突然の余命宣告を受け、妻に、ひとり息子に、忌避してきた祖父に家に、そして逃げ出してきたままの友に、己に、シュンは伝えに、向き合いに、ゆく。

憎み、憎まれ、
愛し、愛され、
信じ、裏切り、

祈り、願ったものすべてに。

相変わらず、気づくと泣きそうな顔のまま、泣いてたまるかとページを繰っているわたしがいる。

物語のあちこちに、はしばしに、深い言葉が散りばめられている。

父が子を思うこと。
子が父に思わせること。
夫が妻に、妻が夫に。
友が友に。

白か黒ではない、だけど灰色一色なわけでもない、大切な色々。

強さと弱さ。
弱さの強さ。

よかったと思える人生。
幸せだったと思う人生。

どうか、できるならば本作品をご一読いただければ、と思う。


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