「隙 間」

2010年03月06日(土) 「レスラー」

「レスラー」

をギンレイにて。

ミッキー・ロークの復活作品、といわれた作品である。

かつての名レスラー、ランディ(ミッキー・ローク)は、その二十年経った今もまだ、現役としてレスラーを続けていた。

平日はスーパーのパートで日銭を稼ぎ、週末はレスリング。

しかし。

肉体の衰え、さらに、酷使し続けたツケが、回ってくる。

試合後の控え室、心臓発作。

バイパス手術で一命をとりとめるが、現役続行は不可能だと医者に宣告される。

レスリングのために、すべてを、家族をも捨ててきたランディには、ほかに残されたものはなかった。

「娘さんに、会って話すべき」

そして、娘に、会いにゆく。

今さら、何も求めたりしない。

ただ。

「お前に嫌われたくない」

勝手な父親で、レスリングのために捨て去っておいて、ムシのいいことだとわかっている。
頼らせて欲しい、というつもりなんか毛頭ない。

今さらだけれども、少しずつ、すき間を埋めてゆきたい。

しかし、娘とやっと取り交わした食事の約束を、すっぽかしてしまう。

「期待した私が馬鹿だった。もう二度と、あんな思いをするのは、うんざり」

お願いだから。

もう二度と、
顔を見せないで。

ランディは、己に唯一残されたもの。

レスリング。

己が己である、唯一の場所。

無謀な現役復活。

「俺の引退を決められるのは、ほかの誰でもない。ファンだけだ」

試合の最高潮、発作がはじまる。
様子がおかしいことに気づいた対戦相手の、「そろそろ幕を引こう」との言葉。

ランディ、ランディ!
ランディ、ランディ!

ファンの大歓声に、ランディは、満たされる。

立つのもおぼつかないランディに、早く試合を終わらせようと働きかけるレフェリーと対戦相手。

早く俺をフォールしろ、対戦相手はマットでダウンしたまま待っている。

ランディは、発作で苦しい胸を押さえ、コーナー・ロープを上りはじめる。

ランディの必殺技「ラム・ジャム」

ファンの歓声に耳を傾け、そしてとうとう、トップ・ロープを踏みきる。

この作品、とにかく「泥臭い」のである。

これだけ人間臭い作品、そしてミッキー・ロークの姿は、とても素晴らしいものである。


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