「レスラー」
をギンレイにて。
ミッキー・ロークの復活作品、といわれた作品である。
かつての名レスラー、ランディ(ミッキー・ローク)は、その二十年経った今もまだ、現役としてレスラーを続けていた。
平日はスーパーのパートで日銭を稼ぎ、週末はレスリング。
しかし。
肉体の衰え、さらに、酷使し続けたツケが、回ってくる。
試合後の控え室、心臓発作。
バイパス手術で一命をとりとめるが、現役続行は不可能だと医者に宣告される。
レスリングのために、すべてを、家族をも捨ててきたランディには、ほかに残されたものはなかった。
「娘さんに、会って話すべき」
そして、娘に、会いにゆく。
今さら、何も求めたりしない。
ただ。
「お前に嫌われたくない」
勝手な父親で、レスリングのために捨て去っておいて、ムシのいいことだとわかっている。 頼らせて欲しい、というつもりなんか毛頭ない。
今さらだけれども、少しずつ、すき間を埋めてゆきたい。
しかし、娘とやっと取り交わした食事の約束を、すっぽかしてしまう。
「期待した私が馬鹿だった。もう二度と、あんな思いをするのは、うんざり」
お願いだから。
もう二度と、 顔を見せないで。
ランディは、己に唯一残されたもの。
レスリング。
己が己である、唯一の場所。
無謀な現役復活。
「俺の引退を決められるのは、ほかの誰でもない。ファンだけだ」
試合の最高潮、発作がはじまる。 様子がおかしいことに気づいた対戦相手の、「そろそろ幕を引こう」との言葉。
ランディ、ランディ! ランディ、ランディ!
ファンの大歓声に、ランディは、満たされる。
立つのもおぼつかないランディに、早く試合を終わらせようと働きかけるレフェリーと対戦相手。
早く俺をフォールしろ、対戦相手はマットでダウンしたまま待っている。
ランディは、発作で苦しい胸を押さえ、コーナー・ロープを上りはじめる。
ランディの必殺技「ラム・ジャム」
ファンの歓声に耳を傾け、そしてとうとう、トップ・ロープを踏みきる。
この作品、とにかく「泥臭い」のである。
これだけ人間臭い作品、そしてミッキー・ロークの姿は、とても素晴らしいものである。
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