「隙 間」

2010年02月21日(日) 「サイドウェイズ」とドラマチック

「サイドウェイズ」

をギンレイにて。
通勤途中の有楽町で、スバル座のポスターを毎日眺めていた作品である。

もともとは洋画を、日本人キャストで復刻した、らしいとの話はきいていたのである。

ひらたくいえば。

「ハチ公物語」をリチャード・ギアで「HACHI」として作品にしたのと同じなわけである。

小日向文世、生瀬勝久、鈴木京香、菊池凛子らのおくる、中年たちの青春物語である。

八十、九十年代の、トレンディドラマの懐かしい香りが漂う。
これがまた、ほどよい味わいを醸し出しているのである。

小日向演じる冴えないシナリオライター講師。

ドラマ原作の返事を、待っていたのである。

ふむ。
どこかで聞いたことがあるような話である。

ドラマ化決定、しかし、手直しをよりによって教え子に任され、どんどん書き換えられて、挙げ句、

「先生の原作は、クレジットを一本でやりたいので。ギャラはお払いしますので」

となってしまうのである。

くっそぉ!
はいはい頷いて、言われるままに書き直して、それでよけりゃあ、やるさ!
ふざけんなっ!

それまで、ひたすら温厚に、声を荒げることがなかった彼が、叫ぶ。

そんなもんである。



まだよいではないか。

プロダクションが組織改編で、いつまでも「準備中」の札を掲げられたまま連絡もとれずにいるよりも。



おっと。
耳の奥の痛みに思わずうめき声があがってしまったようである。



さて。

目が覚めると、卓の上には、甲殻類の死骸が、ボウルに山と積み重ねられていたのである。

有川浩著「海の底」のサガミレガリスを思い浮かばす。

「わたしのことは、忘れてください」

そして数年後、

「はじめまして、ですよね」

と少女が女性となって敬礼を返しにくるはずもなく。
ただ今夜はどう料理してくれよう、とあごをひと撫でするだけである。

まったくなんとも幸せなことである。

まったくなんとも不自由な体である。

さてギンレイの帰り道、ドームシティにあるbaseball-cafeの前を通ったとき。

中で男の子が、おそらく誕生日だったのだろう、スタッフ全員が輪になってお祝いのパフォーマンスをしていたのである。

なんたる対比だろうか。

まるでクリスマス・キャロル。

「サイドウェイズ」で生瀬勝久演じるダニーが、言う。

「ドラマなんだからドラマチックに書け、って生徒に教えてんだろう?」
「それでも、この話だけは、そうしたらいけないんだっ」

答える。

譲れない、生き方。

どうにも、互いに譲り合えるところを探し、導こうとすることばかりに、なっている。

仕事してりゃあ、そんなの当たり前、でもある。

が。

これだけは、譲れない、ものだって、ある、のである。


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