「隙 間」

2010年02月20日(土) 泣いて過ごしたかに?

「帰って、ナウシカを観るべし」

昨夜の帰りがけに、友からそう言われたのである。

御徒町のそこから見下ろすテールランプの流れが、

「攻撃色に満ちた我を忘れて突き進むオーム」

の群れのようだったのである。

なぜだろう、胸がドキドキする。

と呟いたのは、かの姫さまの台詞にあわせただけではなく、友からの知らせに、グイと引き起こしてもらったからでもある。

「生きてたよ。短ぇ夢だったな……」

と襟を正した参謀よろしく、机を片付け、きびすを返して帰路についたのである。

さて。

昨夜は危うく、姫さまの友愛の物語に、涙をポロポロとこぼしてしまいそうになったのであるが、そこはなんとかこらえたのである。

昼過ぎ、ようやく出仕度が整い、さてとテレビの電源を切ろうとしたとき。

「タイヨウのうた」

画面から飛び込んできたのである。

コートを着たまま、爪先立ちでしゃがみ込んだまま、見入ってしまったのである。

わたしがYUIに、おそらく初めて惚れてしまった出会いの作品である。

退職し、毎日、読むか書くか観るしかせずに過ごしていた当時。

渋谷の映画館で、学校帰りの女子中高生に高手小手に取り囲まれ、男ひとり、そこで泣こうものならひんしゅくこの上ない、と耐えて堪えて観た作品であった。

ご多分にもれず、今回は、とめどなく、はばかることなく、おんおんと頬は濡れるまま、息は詰まるまま、見届けたのである。

気づけば日はとっぷりと暮れている。

また、引きこもりの休日をおくってしまったのである。

買い寄せた激安カニ足を、鍋に放り込み、もくもくとそれを突っつき、しゃぶりながら、振り返ったのである。


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