「隙 間」

2010年02月19日(金) BIMネクタール

今、わたしが携わっている業務に、三次元モデルによる設計、というのがある。

それは業界的に、これからの可能性、ということで大手ゼネコンや設計事務所などが、

「これを機に」

覇権を争わん、と鼻息があらくなっているところ、それを、

「先走って火傷はしたくない」

と一歩後ろから様子をうかがっているもの、などが、ケンケンガクガク、であったりするのである。

一般に、これらの三次元云々を、

「BIM」

と、英略語で呼び表しているのである。

「竹さん。BIMって、何の略なんですか」

不意に、ガンさんが尋ねてきたのである。

「BIM」というのは、ですね。
ええ。

しばし考え込む。

この場合の正解は、
どちらか。

ガンさんは、鉄筋工から自分の設計事務所を立ち上げるまでにいたった、強者である。

が。

日々、意味もない茶々をわたしに入れ、なかなかお茶目な洒落者でもある。

「わかりません」

振り返って、答えたのである。

え、そうなんですか。またまたぁ、ホントは知ってるくせにぃ。

にやにやと、ひじでわたしの肩を突っついてくる。

ますます、わたしはわからなくなったのである。

どちらが、正解か。

「さっさと調べたほうが早いじゃないの」

隣席の馬場さんが、カタカタとキーボード叩き仕事をしながら、笑ったのである。

それは、そうだけれど。

ガンさんが、じゃあ調べてわかったら教えてください、と逃げてしまったのである。

調べるまでも、ないに決まってるじゃあ、ないですか。

「じゃあ、BIMって何の略なの?」
「えっとですね、

B……ブタ肉
I……いい肉
M……丸大ハム

です」

おや、と馬場さんが眉をしかめる。

「ハンバーグでもいいですよ」
「マルシン、じゃなかったっけ」

え。
だって。

「おおきくなれよぉ。

まーるーだーいー♪
ハーンーバーァーグ♪

って、子どものころCMやってませんでしたか」

馬場さんとわたしは、同じ年齢である。

しかし。

永遠の二十六歳、

を自称しているのである。

十もサバを読もうなぞ。
わたしも共犯となろう。

もとい。

「だって、

まーるしん♪
まーるしん♪
ハンバァグ♪

でしょう」

いや、丸大です。
いいや、マルシンだって。

どちらでもかまわない論争に、しばし突入してしまったのである。

他にもパターンを用意していたのに、披露することができなかったのである。

ちなみに、「BIM」の真面目な正解は、

Bilding
Information
Model

である。


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