「隙 間」

2010年01月30日(土) 満たされた月にかかる螺旋階段

先日母上を亡くされた地元の友人ミエ田夫人のもとを、ほかの友人らと訪ねてきた。

当初の予定では、臨月の天夫人と彼女の姫たちふたりと高木卯嬢で訪ねるのであったが、なにせ臨月である。

「それに満月だし大潮じゃん」

天夫人は出かけるどころではないはずなのである。

「でもさ」

高木嬢ひとりだけで行かせるのも、なんだしねえ。

「何よりあたしが彼女に会いたいし。でも」

そんな状況だから、当日やっぱり無理になるかも。

そうして、わたしも同行させていただく運びとなったのである。

当日の朝、案の定天夫人ら不参加の電話が入っていたのである。

入っていた、とは、わたしは電話の呼び出し音を目覚ましのアラームだと思い、放っておいて枕によだれをたらしていたのである。

慌ててかけ直し、ことの次第を確認する。

「やっぱりさすが、旦那に愛されてるねぇ」

旦那とは、やはり同じ友人の金田である。

さてそんなこんなで、高木嬢とふたりでミエ田夫人のお宅へと向かうことになったのである。

高木嬢は夫人とは幼なじみで、夫人の亡くなられた母のこともよく知る仲である。

さて。
わたしはおやつに、「手造りパイの店マミー」のアップルパイを持っていったのである。
予想外の新商品があり、迷った挙げ句、高木嬢との待ち合わせ時間に遅れたのだが、

パイを憎んで我を憎まず

と胸を張って高木嬢に迎えられたのである。

そのパイが、ミエ田夫人によって取り分けられる。

クリームチーズ・アップルパイ。

見逃せるはずが、ない。
健康診断もすんだばかりである。

夫人と高木嬢の久しぶりの盛り上がる会話に、ひそかにお愛想で相づちをはさみながら、堪能する。

うむ。
至福。

夫人の坊ちゃんふたりも、どうやらお口に合ったようで、ぱくぱくもぐもぐと食べていただいたのである。

しかし、坊ちゃんふたりが揃うと、やはり華が咲く、ではなく、風が舞い上がるように、賑やかになる。

そんな元気な風たちのおかげもあってか、夫人は元気を取り戻しているようであった。

いつまでも落ち込んでばかりいられない。
ひとりじゃあないんだから。

といったところなのだろう。

帰りに駅まで送ってもらった車の運転姿は、凛々しく、頼もしいものであった。

無論、夫人の運転に、はなから不安の不の字など感じてはおらなかった。

ただ、十代から知る夫人の姿に、想像がつかなかっただけである。

なんとも喜ばしい。

さらに、なんと。

名古屋の友に第二子ができた、とのまたまためでたい報せが届いたのである。

なんともかんとも、めでたいことである。

さて、一部の方々が気にされる高木嬢だが、

落ち込んだりもしたけれど、
わたしは元気です。

といったところのようである。

落ち込んだりするだけ、わたしよりよっぽど、前へへと歩もうとしている証しであろう。

わたしも、前へ。

螺旋階段は、少しでも高みへと上れているのだろうか。


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