「隙 間」

2010年01月20日(水) 「海の仙人」

糸糸山秋子著「海の仙人」

あなどるなかれ。

文庫にしてたかが四ミリ程度の厚さ、と。

海の「仙人」などと子供だましなものを、と。

「ファンタジー」などという名の、さらに「神の親戚のできの悪いほう」などというふざけた人物が登場など、ちゃんちゃら、へそで茶を沸かすわ、と。

そのすべてを覆し、ガツン、とくらわされること請け合い、の作品である。

宝くじが当たり、金には困らない生活ができるようになった男は、仕事を辞めて敦賀の浜の町に暮らしはじめる。

アパートの大家となり生活費はそれでまかなえる。
なにをするでもない。
釣りと海で泳ぐこと、それだけの慎ましい日々に、

「神の親戚の、できの悪いほう」である。名前は「ファンタジー」とでも呼ぶがよい。

というあやしげな人物が現れ、ともに暮らすことになり、やがて元同僚の女と、そして男にとって「縁」がある女と、出会い、過ごし、月日は流れ、別れ、そうして。

文学界新人賞はじめ川端康成文学賞、そして芥川賞などを受賞した作家として、まさに強くうなずかされる作家である。

あらためて、著作を読み漁ってみよう。

肝ともいえる「イッツ・オンリー〜」は、原作としてまだ読んでいないのである。

西川美和監督ではないが、なかなか骨太、な作品を目にできる貴重な作家である。


 < 過去  INDEX  未来 >


竹 [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加