| 2010年01月18日(月) |
「食堂かたつむり」の味見 |
小川糸著「食堂かたつむり」
どうやらわたしは、とことん、美味い料理に飢えているらしい。
本作品、単行本で発売されたそのときから、かなりの評判であった。
しかしこれは、どうしてわたしの期待通りのものではなかったのである。
誤解してはならない。
活字だけで、いかに料理を美味そうに描くか。
それは、食べる側の視点で描くことである。
作る側の表現と、いただく側の表現とでは、まったく異なったものを与えられてしまうものなのである。
料理のてほどきやメニューをみせられても、腹の虫いっぴき、鳴きはしない。
食う。 ほおばる。 のみくだす。
湯気に視界を曇らす。 香りに鼻をならす。 音に唾をたらす。
それこそが、わたしの腹が求めるものであっただけのことである。
読みやすくさらさらと、ほかほかと、食堂でのいじらしいリンコシェフの日々が、コトコトとブイヤベースを煮込んでゆくように続いてゆく。
さあ、このままこの料理は終わってしまうのか。
そのとき。
こころの舌に、切ないしょっぱさが、染み入ってきたのである。
シェフの味付けではない。 わたしがうっかり、塩水を目から足してしまったようであった。
ぐじゅ、ずずっ。
さっそく映画化されるらしい。 出版業界もたいへんである。
それはさておいても、映画として食堂かたつむりの料理たちがどのように銀幕に描かれるのか楽しみである。
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