| 2010年01月12日(火) |
「妖怪アパートの優雅な日常 三」 |
香月日輪著「妖怪アパートの優雅な日常 三」
いやはや、読みやすい。 なにせ、小学館講談社の甘木週刊漫画雑誌的物語要素をきれいに盛り込んで進められているのである。
さらに、時折主人公の高校生夕士が学んだり感じたりした人生訓などが、織り交ぜられているのである。
それこそが、成長の証し、であり、読者にともに成長していって欲しい、とのことなのだろう。
成長もくそもないわたしには、ふむふむそれで、といった次第なのだが、思春期に言い聞かせるにはよいのかもしれない。
本編についての話に戻ろう。
魔書使い「ブックマスター」としての訓練がはじまる。
本人の夢は「ビジネスマンになるか地方公務員になって、堅実ないたって普通の生活を築くこと」であり、妖魔退治や冒険なぞ毛の先ほどもしたいと思わない。
しかし、魔書におさめられている精霊妖魔の類いを使うたびに命が削られるというのである。 削られても減らないよう、いわば基礎体力を鍛えなければならないのである。
鍛えれば、その成果をどこかでみせなければ読者は納得しないのである。
別段、わたしはかまわないので、そこは流すことにしよう。
流せないのが、まかないの手首だけの姿の「るり子」さんの作る料理、である。
唾涎ものである。
基本、和食が多いようだが、それは、季節の旬のものを妖怪妖魔たちが差し入れにやってきたのを料理するのだから、自然、そちらが多くなる。
まして、るり子さんは小料理屋を開くのが夢のまま、バラバラ殺人によってこの様な次第になってしまったのである。
ソテーだムニエルだフランベの炎が舞う小料理屋など、ふさわしいわけがない。
読むほどに腹が減る。 読むほどに次が楽しみになる。
胃袋を、すっかりつかまれてしまったようである。
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