「隙 間」

2009年11月29日(日) ひきこもって過ごしていた

せっかくの休日だというのに、引きこもってしまった。

正確には、今週分の朝食用の食パンを買いだめに赤札堂とハナマサにでかけはしたけれど、買ってそのままの足で帰ってくるなんて、まったく、ぜんたいどうにかしてるとしか思えない。

ビニル袋にネギの頭を生やして、地下鉄に乗って帰ってくるのだから、はずかしいったらありゃしない。

それじゃあ、自転車のカゴから生やすのだったらよかったの?

自転車はとうに処分してるのをわかっている。
今の部屋には、駐輪場も自転車置き場もないのだから、「どうせ全部歩きでしょ」とすずやかな顔で、煮え切らない気持ちを一刀両断した。

「お買い得品」をみつけて、ほんとうは大きなほうの、「醤油一リットル」だとか「お米五キロ」とかを買いたいはずなのに、「お徳用」がついた小瓶や小袋のほうを手にしてはしげしげとながめ、「今はいらない」「でも、あれをつくるときにはいるけれど」と、思案にふけって熟考してみたりして、ていねいな手つきでその半分をもとの棚に戻す。

結局選んだ半分を、「きみたちは選ばれたんだ」と、すこしえらぶったようすで得意げにレジに連れてゆく。

小銭の端数がうまく払えたりすると、「今日は運がいい」と悦に入ったりするけれど、外はもう真っ暗な時間で、今日の残りのいったいどこでその運を有効につかうのかわからない。

「運はつかえるものじゃない。ただたまるだけのものだ」

とかいって鼻を尖らせていたりするけれど、財布のなかに、おみくじでひきあてた「大吉」や「中吉」をちまちまとしまいこんでいるのを知っている。

まるでどこかでその運をつかえるんじゃないか、って思っているみたいに。

赤札堂より二十円安く食パンが買えたし、さすがハナマサ、とご満悦だけど、吉池の地下食品フロアに初潜入と調子にのって、探検しているうちに、一階外の野菜安売り場が店仕舞いの時間を過ぎたのに気づかなくって、お目当てのキャベツ一玉七十八円を買い損ねて、「白菜がまだ冷蔵庫に残っているもの。やっぱり運がいい」なんてつぶやいてみせたりしている。

おまけに。

出がけにプレスにかけておいたスーツのズボンが、取り出してみたら折り目が二本になっていた。
すこし残念な顔で、もう一度、今度は念入りにひざを揃えて、すそを引っ張って、ほほをひきつらして、プレスにはさみ直している。

どうか三本線に増えませんように。

神頼み運頼みを織り交ぜて、よし、とセットする。
テレビでは男同士の激しい闘いが繰り広げられ、どっちが拳をくらっても、「あいた、あいたた」と顔を強ばらす。

そのうち、彼らに合わせて、頭を、上半身を揺さぶりはじめて、

「パリー、スウェー、ダッキング」

ダッキングで腰に感じるものがあって、ふう、とあきらめる。

男同士の闘いは勝者が決まり、カチッとスイッチが切れる音がした。

あちらもプレス(記者)を。
こちらもプレスを。

勝者はかつてのイメージとは一線を画した姿で。
こちらは折り目がなんとか一線になったズボンを。

手にしたものを肩に掛ける。


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