「人生に乾杯」
をギンレイにて。
この作品には、やられてしまいました。
ぜひ、観てみてください。
年金暮らしをしていたエミルとヘディだが、年金だけでは生活などできず、借金(公共料金の)取りに追われる日々。 それは別に贅沢をしているわけでもなく、慎ましやかに、ぼそぼそ暮らしているだけで、つまり、それがハンガリーでの高齢者の生活の現状だった。 運命的な出会いをしたふたりの、そのきっかけだったダイヤのイヤリングを借金のかたに差し出した妻のヘディのために、エミルはひとり強盗をする。
イヤリングを取り返すために。
いたって紳士的、かつ小心な強盗を、やがてヘディと警察から逃れながら繰り返してゆくことに。
かつての思いを思い出して、ふたりはなんとも素敵な夫婦の姿を、観ているひとにみせてくれます。
行く先には警察のバリケード車が道を塞ぎ、途中から人質になった、ふたりを追っていた女性警察官を車からおろし、
「わたしたちの行く先に、あなたは必要ない」
と言葉を残して車に乗るエミルとヘディ。
ふたりはしっかりと、やさしく、愛情深く手を握り合い車を走らせてゆく。 バリケード車が待ち受けているとわかっていても、車は止まるどころか減速する気配すらみせない。
解放され、ひとり歩いて出てきた女性警察官は、車が大破炎上するところを目の当たりにする。
エミルとヘディの幸せな姿を思い出し、彼女は衝撃と悲しみのあまり地面に崩れ落ちる。
「ひとつだけ心残りがあるの。 それは海を一度、見てみたかった」
年金生活に苦しむ高齢者たちはエミルとヘディの行動に勇気と希望をもらい、そして力を与えてもらい抗議やデモが全国にひろがってゆく。
思わず息が詰まる悲しさに襲われてしまいました。
そして。
やられました。
とにかく、ほっこり、とした幸せな、あたたかなふたりの姿が、とても素敵です。
夫婦って、素敵です。
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