| 2009年11月22日(日) |
「ハヅキさんのこと」 |
川上弘美著「ハヅキさんのこと」
今回の作品は、まさに、川上弘美作品らしい、作品である。
ふわふわとした、しかしどこかで揺るぎない揺らぎがあり、ほう、とため息をつかされてしまう。
そんな物語が、ひとつひとつは五分で読み終えてしまえるようなものが、みっしりと、ゆらゆらと、たくさん連ねられているのである。
まるで、綿あめ、のようなものである。
口当たりはやわらかく、たよりなく、しゅっと溶けてしまいそうなのに、舌の上で、しっかりと、よくもわるくも甘さが残る。
揺らがされてぼやあとされているようなのに、本質的な言霊のような何かが、胸の奥の、気持ちのまん中のところに、ストンと置き石のように、気づかぬうちに置かれてゆくのである。
稀有なる作家である。
さて。
やってしまった、のである。
何を、というと、自分の馬鹿さ加減に呆れるどころか、もはや、大したものだ、とさえ思えてしまうのである。
同じ本を、二冊、続けて、二種買っていたのである。
つまり、一週目にXとAを買い、二週目にYとBを買い、三週目にふたたびAとBを買っていたのである。
読もう、という記憶だけが残っているのである。いつそう思ったのかは、記憶に残っていないくせに、である。
まったく、手に負えない。
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