わたしは、アナログな人間である。
デジタルに関しては、下手の横好き、いやトマトのヘタくらいのものであるかもしれない。
3Dで図面を書くソフトを導入するにあたって、その講習を何回かに分けて受講しているのだが。
完全に、使わされているのである。
同じ年頃のシュウゾウ氏は、はや「こりゃ、無理だぁ。使いきれん」と根をあげていた。
激しく同意し、かむりを振る。
3Dといえば、いわゆるイメージ画像を書くためにだけ使う、という印象だった。
外観や内観のイメージをつかみやすくするためのもので、乱暴にいってしまえば、細かい、正確な寸法やらは二の次のもので、とにかく見た目をいかに見栄えよく伝えるか、が重要であったのである。
それが今度は、どうやらずいぶん進化、認知、信頼を得らるるまでになり、図面を書けてしまうようになっているらしい。
いや。
図面を書きながら、立体的な空間をも同時に描いてしまえるようになったらしい。
二次元の面に書いてきたのが、三次元である。
(X,Y)だけだったのが、(X,Y,Z)に増えたのである。
たかが「Z」ひとつ、といえぬほど、これがまた厄介な輩なのである。
無論、わたしたちは二次元の図面の上に、常に三次元の空間を思い描きつつ書いておらねばならぬ。
しかしそれは人間の脳みその巧みなところで、見えぬ線や面で、補い、成り立たせているのである。
しかし、相手は律儀この上なく、とかく義理堅く、頭の固いパソコンである。
「何を尋ね返してきている」 「わかった。わかったが、だからどうして欲しいというのだ」 「えい、自分で考えて適当に書いてくれればよいではないか」
シュウゾウ氏が隣から様子をうかがうように、わたしの画面をのぞいている。
さすが、できてるじゃん。
できているように、見せているだけである。 買い被らないでもらいたいところだが、悪い気はしない。
条件反射で、
「そんなこと、ないですよ」
と愛想笑いを返す。
頭がちんぷんかんぷんのせいで、余裕がなく「条件反射」してしまっているだけなのである。
「条件反射」とは、かくも恐ろしきものである。
|