「隙 間」

2009年09月08日(火) 難儀なけいきの問題

今朝。

ホームで山手線を待っていたのである。
ご存知の通り、緑色の車体である。正確には銀色に緑色のラインなのだが、とおりよく緑色の車体ということにしておこう。

すると、アンドロメダを目指す銀河鉄道のような車両が、入ってきたのである。

まっ茶色のそれは、「meiji」と控えめだが目に入るところに、ちらほらと書かれてあった。

そして、

「山手線命名百周年」

と、掲げ書いてある。

ほう、百周年、と目をしばたかせながら乗り込む。

中はチョコレートの宣伝でいっぱいであった。

チョコレートは、好きである。
目覚めによいと知り、さらに好感をあげた。

チョコレート色でいっぱいの山手線に揺られているうち、甘菓子が食いたくなってきたのである。

チョコレートのロールケーキなどどこかに売っていなかったか、とひと思案してみたが、違うロールケーキが思い浮かんだのである。

たしか品川駅構内の、「なんたら」という店で、
「新幹線ロール」だか、
「品川ロール」だか、

新幹線の箱に、まるまる一本ロールケーキが入っている、というのが売っていたように思う。

帰りにのぞいてみよう、と思ったまま、思い出したのは帰りの緑色の山手線に揺られているときであったのである。

ケーキの話がでたついでに、もうひとつ。

すっかり栗の季節である。

モンブラン・ケーキが、わたしは好物なのだが、少々難儀な問題に行き当たり、閉口してしまい、そうまさに閉口してしまい、しばらく口にしていないのである。

モンブラン・ケーキといえば、わたしにとって、ベースはスポンジでなければならない。

ムネムネウニッとしたてっぺんから、フォークをそっと、底まで割き下ろす。

底がメレンゲなどになっていては、

サクッ、

もしくは、

パリッ、

となってしまい、やわらかなモンブランが異質のものになってしまったかのように、もの悲しい気持ちになるのである。

モンブラン・ケーキを食おう、と意を決して店に入っていみても、たいがいの店のモンブラン・ケーキは、メレンゲなのである。

たまに入り口脇のケーキケースに陳列保存されているのを、食い入るように見たとて、外からは知る由もない。

「モンブラン・ケーキの土台は、スポンジですか」

と、いちいち訊いてから席に着く、またはそもそもの入り口で扉を開けた時点で尋ね、爪先を内に向けるか翻すかを決めるのも、できない。

そうなると、いざきてみて、フォークの先から、

サクッ、

もしくは、

パリッ、

と聞こえてきてしまったら、取り返しがつかないのである。

無論、何事もないかのように、鮮やかではないまでも、フォークを繰ってその小片を次々と口に放り込んでゆくのだが、ほろ苦さを噛みしめていることをご推察願たいところなのである。

何が本格的、本来のものなのかは知らないが、

どんなに上等な蕎麦を出す蕎麦屋でも、頼んだ時間に待たせることなく届かないのであれば、わたしは決してその蕎麦屋で頼まない。
そのせいで昼飯がなくなるのならば、それでも構わないのである。
構わないのだが、腹が減るのは困るので、困らないために、安くても時間にきちんと届けてくれる蕎麦屋が近くにあるかどうか、甚だ気になるのである。

という内田百ケン先生に倣い、わたしはしばらくモンブラン・ケーキを口にしていないのである。

大層、難儀、な問題である。


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