「隙 間」

2009年08月12日(水) 特別な作品「RENT」


ブロードウェイ・ミュージカル
「RENT」

を赤坂ACTシアターにて。

オフ・ブロードウェイからトニー賞ピューリッツァ賞他を受賞し、伝説的なミュージカルとして映画版も制作されました。
その映画版を、ちょうど無職時代に観ました。

ええ。
自分の明日の見えなさなどというのは、まだまだあまいな、とも思いました。

映画版でも、キャストの半分が劇場でのオリジナルキャストが器用されていました。

深夜番組の「スジナシ」などを録画していると、そのミュージカルのCMが挟まっていたりするのです。

わたしのはHDでもDVDでもなくビデオテープなものですから、早送りする手を止め、衝動的にチケットを手配していました。

大人一枚なんて、なんとかなるものです。

英語です、もちろん。

Hi,Ken.
Hi,Mike.
Ken,This is Junko.
Junko,This is Ken.

で、英語の教科書がよだれで張りついてしまってたわたしが、なんということでしょうか。

だいじょうぶです。

映画であらかたの台詞は把握しているし、字幕付きの公演ですから。

この「RENT」。

「ブレークスルー・シート」

なるものがあります。

生みの親であるジョナサン・ラーソンが、

「金がなくても、すこしでもこの作品にアーティストを目指すひとたちに触れて欲しい」

との思いから、十シートだけ半額で観劇できる座席を毎公演用意してあるのです。

その十シートをめぐって、入口の前で抽選が行われます。

「当たった方を盛大な拍手で迎えて、当たった方はそれに負けないリアクションで、喜びを表現してくださいっ」

では、最初の番号は。

「……!? !!!」

涙を流して抽選券を空に突き上げたり。

声にならない悲鳴を上げてただただ係員に駆け寄ったり。

ひと幕の群像劇が、そこにりました。





で。

幕が下りました。

なんでしょう。

なぜわたしはここにひとり、いるのでしょう。



誰かが隣で目を潤ませてくれていたり。
表現し難い感情を拳に込めて激しく叩いてきてくれたり。

涙はすぐにたまっても、泣き方をどうやら忘れてしまったようです。



激しく。
茫然。
です。

この「RENT」を生み出したジョナサン・ラーソンという人物。

舞台の完成した姿を、みていません。

公演の幕が上がるその日の未明。
ファルマン症(?)による胸部動脈瘤破裂で、帰らぬひととなってしまいました。

ジョナサン・ラーソン。
三十五歳。

ピューリッツァー賞も、トニー賞も、その他様々な賞を受賞するも、彼はそれを受け取ることができませんでした。

だからこそ、

「伝説」

と呼ばれるところがあるのかもしれません。

そんな風評は、掃いてドブにでも捨てっちまえ。

です。

伝説は、この胸のなかに。

です。

生は、素晴らしいエネルギーを、与えてくれます。

「No day,but Today」

未来なんかない。
今日があるだけ。

未来なんてものは、ありません。

断言します。

今日のうちからある未来なんてものは、ただの都合のいい偶像です。

今日を積み重ねた結果、過去は生まれてゆくのかもしれません。

が。

形ある未来など、有り得ないのです。

だからこそ。

形作ろうと、今日をしっかりと生きるのです。

劇中、ロジャーとマークのわたしがキャストと一緒になって、歌い踊り回ります。

誰しもが、影を抱えているものです。
その影をつく言葉、メッセージが、きっと、いや必ず、胸を揺さぶるはずです。

オールキャスト、そして。

ジョナサン・ラーソンに、感服です。


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