「隙 間」

2009年08月11日(火) 「南極料理人」

暦の上では立秋も過ぎた。

ということで、芸術の秋としよう。

「南極料理人」

をテアトル新宿にて。

堺雅人主演。
極寒の地南極、ペンギンもアザラシも住まない遥か内地の、富士山よりも標高が高い「ドームふじ基地」。

その極寒の地で、ほっこりあたたかくて、やっぱり厳しく寂しくて、それでもやっぱりあたたかい日々を描く。

レビューで、

男版「かもめ食堂」

と書かれたところもあるが、わたしは「かもめ食堂」をみていない。が、おそらくあっているだろう。

堺雅人、きたろう、生瀬勝久ら、クセもの揃いの役者陣が、存分にクセを活かしてあちこちをあたためる。

伊勢海老を食料庫でみつけた。

皆がそれを聞く度に、

「エビフライでしょ」
「エビフライだよね」

と言い、「いや、刺身とか」と調理担当の堺雅人が反論するも、

「みんな、エビフライの気持ちになってるんだからさ」

と隊長に諭され、テーブルには伊勢海老まるまる一匹のエビフライがそれぞれの前に。

「頭のみそを、タルタルソースにいかしてみました」

ひくにひけず、かぶりつく。

「なんだ。その」
「やっぱり、刺身だったな」

基地のメンバーは男だけの八人。

四百日以上も共に過ごせば、家族のような会話になる。

七時に起こしてっていったじゃない。
起こしたけど起きなかったじゃん。
あ、それ僕のジャージ。
おい、おはよう、ていってんだよ。おはよう、は、どうした。
いいから、ね。
よくないよ、お・は・よ・う 、おいっ。
まま、いいじゃない。

それだけではない。
「超長距離」恋愛だったり単身赴任である。
電話代は、

一分間七百円強。

電話の脇に置かれている砂時計が、いい。

無情にさらさらと流れ落ちてゆく。

そんなだから、失恋もある。

「ちくしょーおぉっ。渋谷とか、いきてぇえぇーっ。ここで死んでやるーっ」

そんななか、隊員たちの唯一の楽しみが、やっぱり食事なのである。

調理担当とはいえ、堺雅人は海上保安庁の調理番であり、専門の料理人ではない。

しかし、ありったけの腕をふるい、皆の笑顔を食卓に生み出すのである。

料理とは、素晴らしい。

美味いものが、欲しくなる。

そんな作品である。


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