「隙 間」

2009年08月06日(木) アキバから酒場へ

にーさん、俺、旅に行ってきます。

予行地と暑気払いの昼食をとっていたときのことであった。

どこの寺へ自身を見直しにゆくんねん?
違いますって。それをやらなきゃならないのは、にーさんの方でしょ。
日々是すなわちすべて禅なり。歩くときも食べるときも、寝ているときさえも「禅」なのだよ。

……。
……。

もう、話していいっすか?
あい……。

金沢と名古屋と三重に、行ってきます。
誰と?
ひとりに決まってるでしょう。
さびしーのおー。
いいんです。強行軍ですから。

予行地はなんと、美術館めぐりをするらしい。
展示品をみるのではない。

「建物」を、見に行くのである。

有名建築家の作品、つまり設計した建物を見ることは、なかなかためになる。

そのために出かける者にそうでない者が同行すると、はなはだ疲れてしまうものなのである。

あちらへふらふら、こちらへふらふら。
近づいて、離れて、
見上げて、のぞいて、
さわって、たたいて、

「すみません、お手を触れないよう」
「関係者以外の方は、立ち入らぬよう」

と注意されることも、しばしば。

「名古屋から三重へゆくアシが、いいのがないんすよね」

レンタカーじゃなければ、近鉄くらいじゃないのん?
なんで知った顔なんですか。
地図みて最初に気づく程度のことやん。
いやぁ。さすが、にーさん。
馬鹿にしとるん?
いやいや……からかっただけです。

思い立ったひとり旅の心強い味方は、夜行バスである。

ひとりなら座席の空きもあるし、夜遅く出発、早朝着、新幹線の半額だったりもする。

休憩で寄るサービスエリアで食うアメリカンドッグの、鼻にガツンと抜けるマスタードがなんとも愛しく思える。

深夜なので閉まっている店やシャッターや、閑散とした休憩所の空気も、いい。

「にーさん。調べてみましたよ」

予行地が、前回わからないままになっていた問題を解いてきたらしい。

その問題とは、

「AKB48とは、本当にメンバーが四十八人いるのか?」

である。
三十路の男が、なんともイタい話である。

「なんか、いっぱい、いました」

ウィキなるもので調べてみて、メンバー一覧があり、その数を数えはじめたところで、

「もの凄く、イタい気持ちになって」

数えるのはやめたらしい。

もっと早くに気づき、忘れるべきだったろう。

「AKBって、アキバの頭文字だって知ってました?」

イタい。
イタイタしすぎる。

今さらだが、秋葉原をアキバと呼ぶのが、若者の略語や造語だと思われているやもしれぬ。

それこそ間違いである。

秋葉とかく「アキバ神社」という歴史ある由緒正しい神社がある。
つまり、アキバこそ正しい地名なのである。

昔は野原が広がっており、秋葉の野原、から秋葉原と呼ばれるようになり、アキバハラでは読みづらい、漢字を素直に読み「あきはばら」でよかろう、となったらしい。

短気早口舌足らず、の江戸っ子にはありがちなことである。

「SK……なんとか、て姉妹グループみたいなのもあるんですよ」

SKB、かしらん?
さあ、そんな感じでした。
S……サ
K……カ
B……バ?

酒場かっ。なんか全員が、酒ヤケしたしゃがれ声で歌ってて、ひねもした感とうらぶれた感がたっぷりで、コアな支持層つかんでそうやな。
金持ったおやじたちが、小遣いつぎ込みそうですよね。
なけなしの小遣いをはたいて、なぁ。
CDとかポスター、カレンダー、写真集買い込んで、で、奥さんにつめたーい目でみられて。
奥さんは愛犬抱えて頬ずりして、だんなはそのお気に入りの子の写真集を抱いて。
ああ、終わってますね。
うむ、終わってる。

正しいかどうかはあやしいが、

SKE……48?

らしい。

S……サ
K……カ
E……エ

名古屋の栄を拠点としている、らしい。

東京のオタクの街である秋葉原の次に、と選ぶなら、名古屋なら別の街があるだろう。

しかし、そこをあえて選ばない戦略、らしい。

売れているのか、よくはわからないが、名プロデューサーのなすことであれば、なにかしら学ぶべきものがあるのだろう。

どこに、なにがあるのか、あなどれない世の中である。


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