「隙 間」

2009年08月01日(土) 「扉をたたく〜」と「おとなり」と「ディア・ドクター」

ピチュ?
チュチュッピチュー!

ポケモンスタンプラリー真っ最中のようです。

おねーちゃんと、ぼくと、おとーさんが緑の電車の乗り降りを繰り返したり、

ピカチュウのサンバイザーをかぶってスタンプ台を探して構内を右往左往したり、

「ほら、降りるぞ」と、スタンプブックや車窓に夢中の子どもたちを汗だくのまま引率していたり、

しています。

猫も杓子も、PSPだのDSだの携帯ゲームを広げているのには腹が立ってますが、この光景は、なんだかほのぼのさせられます。

さて。

今日は映画サービスデーです。

「扉をたたくひと」

恵比寿ガーデンシネマにて。

大学教授のウォルターは妻を亡くして以来、惰性の繰り返しの日々を送っていた。
空き家同然にしていたニューヨークの自宅に久しぶりに戻ってみると、ジャンベ奏者のタリクが恋人とふたりで住んでいた。
「紹介屋に騙された、すぐに出てゆく。だから警察には通報しないでくれ」と、荷物をまとめて出て行こうとする。
彼らは違法滞在者だった。

行く先が決まるまで、いればいい。

タリクたちとの共同生活がはじまる。
無気力、無興味でひと付き合いさえしてこなかったウォルターは、若者タリクと、彼の打楽器「ジャンベ」に惹かれてゆく。
が、ある日。
タリクが地下鉄の無賃乗車の誤解をされ、ウォルターの目の前で逮捕される。

タリクは移民手続きは入国まもなくしていたが、正式な認可証が届かないまま、何年も経っていた。
以前は政府もおざなりな管理で黙認してきたのが、「9.11テロ事件」を機に移民に関して手のひらを返すように、厳しく、非情に、なっていた。

小学校にも通った。
だから大丈夫だと、そんなものだと、周りもみんないっていた。

ウォルターは、拘置所に何度もタリクに面会するために通う。

釈放されたやつは誰もいない。何年もここにいるやつだっている。
俺はなにひとつ、犯罪を犯したことはない。

釈放のために奔走するウォルターだが、政府の力の前になにひとつ、報いることはできなかった。

ジャンベの練習は続けてるかい。
上達ぶりを見せてくれ。

軽快なリズムが、しんみりと胸にしみてくる作品だった。

続いて

「おと な り」

同じく恵比寿ガーデンシネマにて。

隣の音や声が筒抜けなほど壁が薄いアパート。
一度も顔を合わせたことがない隣同士の男女。

しかし、毎日の生活の音や声だけは、かけがえのない繋がりとしてふたりを結びつけていた。

珈琲を挽く音。
空気清浄機の給水アラーム。
フランス語を発音練習している声。
そして鼻歌。

岡田准一演じるサトシと麻生久美子演じるナナオの、とても素敵な恋物語。

最後の最後まで、顔を合わせない。
ひたすら、壁越しの音だけで、ふたりの間を繋いでゆく。

最後は、それまで散々すれ違っていたふたりの壁一枚の距離が、取り払われる。

鼻歌は、素敵です。

合唱祭で練習した歌は、絶対に忘れてはいけません。

ちーくーごー♪
へいやのひゃくまーんの♪
せいかつのさちーよぉー♪

有明の海に流されてしまいたいです。

場所を新宿に移して、

「ディア・ドクター」

あの名作「ゆれる」の西川美和監督作品です。
とにもかくにも、観ずにはいられませんでした。

なら、サービスデーじゃなくても観にゆけや。

とのご意見は、粛々と受け止めさせていただきます。

主演が笑福亭鶴瓶だからというのは、忘れてください。





観てください。





鳥肌が、いやそんな生易しいもんじゃあない。
「さぶいぼ」が首根っこのあたりから、ぞわぞわとたちました。

西川美和というひとは、なんてすごいのだろう。

そして、

余貴美子という女優に、まずは「ブルブル」っとさせられました。

僻地医療問題云々などと、紹介文にかかれていたとしたら、無視してください。

そんなきれいごとを、西川美和というひとはおそらくかいたりしません。
それはおまけです。
人間の、ひとの、ぐっと腹の奥にあるものです。

弱さだったり、
強さだったり、

悲しさだったり、
強かさだったり。

つるべぇさんやし、女性の監督さんやから、とタカをくくって観てみてください。

土下座して顔を上げられなくなると思います。





ああ、脱帽です。


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