| 2009年07月17日(金) |
「図書館の神様」と予行地談話 |
瀬尾まいこ著「図書館の神様」
作中にほんとうの神様が出てきたりなど、しない。 唯一の文芸部員の男子生徒垣内君と、顧問になってしまった講師の清(きよ・女)の、とても心和む物語である。
清は頭痛持ちだし、アレルギー体質だし、虚弱体質だし、まったく不健全な体に、幼い頃から苦しめられてきた。
不健全な体にこそ 健全な魂が宿る。
を体現するかのような、まさに清く正しい子だった。
熱や痛みに苦しむたびに、
「神様、どうか今よりもっといい子になりますから、助けてください」
祈り、願い続けてきたのであった。
バレーボールに出会い、目覚め、主将になり、どんどん強くなっていった。
自分に厳しく、他人にも厳しく。
チームメートが、彼女がミスを責めたのをきっかけにして、その晩に突如飛び降りて帰らぬひととなってしまった。
垣内君は中学時代サッカー部で活躍していた。 キャプテンだった。 練習中に仲間が、熱中症で倒れて半年入院した。 彼の責任じゃあない。だけど、彼はそう思えなかったのである。
とても、不器用で。 とても、純真。
なのである。
清は、浅見さんという妻のある男が、恋人である。
垣内君は文芸部の地味な活動を批判する意見に対して毅然として答える。
毎日新しい言葉に出会い、新しい世界と新しい自分に出会え、感動できる。 毎日同じ練習を繰り返す運動部こそ、どうなのか。
文学なんてみんなが勝手にやればいい。だけど、すごい面白いんだ。
最後の晴れ舞台。 三年生の主張大会で、推敲に推敲を重ねた原稿をポケットに折り畳んで、全校生徒の前で胸を張る。
文芸部、万歳。
である。
さてさて。
にーさん。 データのお礼ですから、おごりますよ。
先日の予行地と昼食を共にした。
おごってもらえるとは、ありがたい。 しかしそんなときに、値が張るやつを定食のなかから選ぶことができない。 己の財布で、と同じ感覚で選んでしまう。
これは値段の割には量が釣り合ってない。 それはもっとそう。 あれは口が求めていない。
にーさん。 いいから早く。
……同じものを。 え? 同じもの、を。 いいんすか。
白身魚の竜田揚げ定食にすることにした。
違うものを頼むとふたり同時に料理がやってきづらい、という事故をふせぐためである。
にーさん、忙しいんすか。 おうよ。タクシー帰りの覚悟まで促されたさ。 じゃあ、上のひとに俺が言っといてあげますよ。 なんを。
このひとは、徹夜全然オッケーです。むしろ、深夜のほうがバリバリ働きます、って。 あかんあかんあかん。そんなデマ流したら、あかんて。 デマじゃないですよ。事実、じゃないですか。懐かしいなあ……。 懐かしゅうなんかない。今ではもう、信じられんことや。
住んでましたよね……。 ちゃう。それはわしじゃあなく、あんちゃんのほうじゃ。 いや、あのひともそうでしたけど、にーさんのほうが後半そうだったじゃないですか。 「仕事ができる」言うんやつの、中身の差じゃけえ、あんまおえんど。 「このひと、半年間は休みなしで平気です」って、言っときますよ。 ぶちゆるさんど。半年間休まずに働いたら、一年間はまるまる休むけえの。食っていけん。 なんで広島弁っぽいんですか。似合わないし、どうせインチキ弁なんでしょ?
正解。
好きな作家さんたちのほとんどがね、なぜか岡山県とか、あっちのほうに縁があるひとばかりなのよ。 誰っすか。 重松清さんやろ。 スガキヤ? ちゃう。名古屋ちゃう。川上弘美さんから内田百ケン先生やろ。 なんでひとりだけ先生づけなんですか。 知らん。 知らないひとばっかりですね。東野圭吾とか読まないんですか。 あかんあかん、ミステリとか拒否反応起こすんやわぁ。 またそんな変なこだわりを。偏見とか視野を狭めてるとかじゃないんですか。 かもしれへんなぁ。せやけど、しゃあないねん。そうなんやもの。 そんなにーさんの書いた小説、読ませてくださいよ。
やじゃ。 即答って。なんでですか。 なんとなく、本能的な反応なんだろうね。口をついて出た、て感じ。 うぅわ、ムカつく。 俺はちいっともムカつかないから、問題ないね。 くっそぉ。いや、まじで。お願いですから、興味があるんですよ。どんなのを書いているのかなぁ、と。 興味があるうちは、ヤダね。なくなった頃になら、いいけど。 なんすか、それ。普通は逆でしょう? わたくし、天野邪鬼、と申しますものですから。 それ、ペンネームですか。 まさか。あら、昼休みがおわる。 逃げたな。 さあ戻ろう。さあ働こう。ところで。 なんですか。 ごちそうさまでした。 いえいえ。
こんなお馬鹿な会話ばかりである。
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