「隙 間」

2009年06月03日(水) 「君は永遠にそいつらより若い」

津村記久子著「君は永遠にそいつらより若い」

先日、芥川賞を受賞した「ポトスライムの舟」の著者である。
そしてこの作品は太宰治賞受賞作品であり、デビュー作である。

大学卒業前、就職を前にして、いまだ自分が「経験ある女」ではなく「おんなのこ」であることに劣等感を覚え、悔やみ、悩み、全人類に「処女」という言葉を「童貞の女」「不良在庫」「劣等品種」等々に言い換えさせられないか、と、切に願い地味に布教活動するホリガイ。
そんな世間・社会での孤独を常に抱いている彼女を通して、彼女の周りに関わった、やはり孤独や異質や違和感を抱く人々を、描く。

原題「マンイーター」を発刊時に改題したものである。

太宰治賞の受賞作品は、いったいどういう傾向があるのか。

主題は必ず、「悲しみ」や「孤独」を孕んでいなくてはならない。「絶望」にまで孵らせているなら、なおよい。

それを際立たすために、主人公は「不器用」で「一途」でなくてはならない。文調に「粗雑さ」が現れていれば、なおよい。

「粗雑さ」の内に、固い言葉とその言葉をやや振り回し(回され)気味な感を印象付けること。しかしあくまでも「固い」のであって、「難しい」言葉ではない。

倒錯的なものであってもかまわない。それを社会の事象の中で位置付けさえしてあればよい。

といったところが、わかりやすく、且つ最低限の様式だろうか。

石原慎太郎氏などに、

なにをこんなくだらないことを、ご大層に。読むのも時間の無駄。この体たらく、嘆かわしい。

との、別の主催の新人賞での毎回恒例となっている審査評の類いをいわれようが、まずはそれありき、なのである。

そういうのであれば、太宰治賞に似合う作品を書いてみせるのが早かろう。

偉そうな口をきいてみせている手前であるが、わたしのいまの作風では、ちと隔たりがある。

秋までに着手し終えることができれば、まずまず、のつもりではいるのだが、まあまだわからない。

ぼんやりふらふらの世界に頭がいってしまっている故。

太宰といえば生誕百周年である。

様々な著書が棚に並べなおされている。
暗い、重たい、との印象は、じつは間違いであり、なかなか滑稽で愛くるしいものの書き手であるらしい。

まつなぎで、くすりとできる場面を見つけに手を出すのもよいかもしれない。

ねじは、かたく締めすぎると千切れてしまふ。
適度にゆるく、余りを持たさねば使ひ物にならなくなってしまふおそれがある。

わたしのやふに、ゆるみっぱなしも考へものであるが。


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