「隙 間」

2009年05月09日(土) 「ひとがた流し」と三大祭りと「大阪ハムレット」

北村薫著「ひとがた流し」

 朝日新聞に連載されていた作品。
 我が家……実家は、ずうっと朝日新聞でした。

 新聞に連載されていても、新聞を読まないわたしは知る機会がありません。
 本作品は、二〇〇六年に刊行されているので、そのさらに前、に掲載されていた作品です。

 新聞連載だからなのか、ささやかな違和感は、ありました。

 が。

 たとえば、で感じさせられるところがありました。

 子どもが人混みではぐれまい、と親の上着の裾を必死に掴んでいるのに気づき、それに

「自分が今ここにいる意味が、ひしひしと伝わってくる」

 と気づく、だなんて、なかなか気づきません。

 いや。
 一応物書きを志しているものとしては、想像はいかようにもできるけれど、それを真にわかることはできないのです。



 わかるために、との本末転倒になりそうな己の怖さを密かに抱えつつ。



 さて。

 今日から、

「神田祭」です。

「江戸三大祭り」のひとつです。

 っせいや。
 っせいや。

 本御輿ではありませんが、だからこその「町の御輿」の「活き」のようなものが感じられます。

 いっちょまえの格好をしたチビが、わけもわからない様子で父や母に抱きかかえられ、その首ねっこにしがみついてます。

 再来年あたりには、子ども御輿の立派な担ぎ手になっているのでしょう。
山車引きなら来年でも参加していそうです。

 来週は浅草の

「三社祭り」

 です。
 ええ、

「江戸三大祭り」の、
「日本三大祭り」の、

 ひとつです。
 今月は忙しいです。

 さてさて。

「大阪ハムレット」

 をギンレイにて。

 同時上映にギンレイでかけられている、世界で認められた

「おくりびと」

 よりも、わたしにとっては、とても、素晴らしい作品でした。

「大阪ハムレット」

 です。
 松坂慶子さん岸辺一徳さん、ちょっとだけ間寛平さん出演の、コミカルだけど、とても胸が熱くなる家族物語です。

 父(間寛平)が亡くなり、なぜかその弟(岸辺一徳)が転がり込み、居ついて、中学生の真面目な長男、ヤンキーの次男、小学生の三男は、母(松坂慶子)はなにも気にせずにいるので深く追求することもできず、ただ「おっちゃん」として不思議で奇妙な家族関係がはじまります。

 ヤンキーの次男は、国語教師に「ハムレットみたいやなぁ」といわれたのをきっかけに、実際にハムレットを読みはじめます。
 漢字や単語を辞書でひきながら。

「だぁれがハムレットじゃ、くぉらぁっ」

 なかなかミスマッチなところが、素晴らしいです。

「なんでハムレットは、こんなしょうもないことで悩んどんのじゃ?」

 その都度、教師の胸ぐらつかむ勢いで質問を繰り返します。

 またまた面白い。

 長男は教育実習生できた加藤夏樹さんに、大学生だと嘘をついて付き合いはじめ、学校で担当のクラスになって嘘がばれて傷心に。
 三男は、将来の夢という発表会で、

「ぼく、女の子になりたいねん」

 と、衝撃のカミングアウト。

「俺の悩みを増やさんといてくれやあ」

 ヤンキーの次男は、すっかりもう、ハムレット。

 母が妊娠。
 誰の子や?

 実習が終わり彼女は東京に帰ってしまう。
 愛するもののために、いかなならんねん。

 学芸会の舞台でシンデレラを演じることに。
 うっわ、おんなおとこやっ。
 きしょっ。

「生きているから、悩み続ける。悩むことは、生きてる証拠や」

 待合室で生まれるのを待っているとき、おっちゃんが次男に、

「家族お揃いのTシャツ、買い足さな。男の子の色って、他に何色かな?」

 たぶんアメ村で、以前三兄弟に買ってきたのは、長男は赤、次男は青、三男にはピンク、だった。

「み、緑色?」
「そうか、それはいいっ!」

 最後、赤ん坊を抱っこした次男が、大阪の空に叫びます。

「誰の子でもいい。お前は、みんなの子やっ」

 ギンレイのスタッフの、この二作品の組合せを選んだセンスは、とても素敵です。

「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ」

 実は違う訳し方が、現在は囁かれているそうです。


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