五月雨をあつめてはやし最上川
さほどでもなかろうと、肩を見れば、びろうどのような有り様に驚いたりするものである。
川つながりで、もう一句。
ちはやぶる神代も聞かず竜田川 唐紅に水くくるとは
有名な句、であるらしいが、わたしは正道で聞き覚えたのではない。
本来は、竜田川に流れる、一面を埋め尽くしていた紅葉の美しさを歌ったもの、らしい。 何樫の甘木ハムの詠まれたものである。
しかしわたしがこの句を聞き覚えたのは、鼻もひん曲がる男子高校生時代。
日本妖怪学会に所属する生物の教師の授業中のことであった。
「いいか、ロクでもない男にならないために、とくとためになるありがたい一句、だぞ」
竜田川という元相撲取りがだなあ、花魁の……。 置屋が……。茶店が……。 一見が……。
「つまりだなあ」
素敵なおねいちゃんとお知り合いになるには、足繁く通い、焦らず、胆を決めて挑まなあ、ならんのだよ。
「キミらみたいに、年頃の、なんてお馬鹿なことに女の子がひとりもいない男子校に、なあにを血迷ったか入学してきた不憫な輩が」
ワタシは心配でならないっ。
「おねいちゃんにまんまと騙されて、怖いおにいちゃんにやさしくボコられるようなことがないように」
祈るっ。
こころやさしき恩師は、ひたすら「祈って」くれるだけらしい。
「質実剛健」「独立自治」
の気風は、まさにここに極まれり。 ロクでもない知識を、こうして頻繁に、得られたのである。
もしわたしが「茶店」に誘うことがあっても、だから大門をくぐらせる、という意ではなく、安心していただきたい。
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