「隙 間」

2009年05月07日(木) 五月雨

 五月雨をあつめてはやし最上川

 さほどでもなかろうと、肩を見れば、びろうどのような有り様に驚いたりするものである。

 川つながりで、もう一句。

 ちはやぶる神代も聞かず竜田川
 唐紅に水くくるとは

 有名な句、であるらしいが、わたしは正道で聞き覚えたのではない。

 本来は、竜田川に流れる、一面を埋め尽くしていた紅葉の美しさを歌ったもの、らしい。
 何樫の甘木ハムの詠まれたものである。

 しかしわたしがこの句を聞き覚えたのは、鼻もひん曲がる男子高校生時代。

 日本妖怪学会に所属する生物の教師の授業中のことであった。

「いいか、ロクでもない男にならないために、とくとためになるありがたい一句、だぞ」

 竜田川という元相撲取りがだなあ、花魁の……。
 置屋が……。茶店が……。
 一見が……。

「つまりだなあ」

 素敵なおねいちゃんとお知り合いになるには、足繁く通い、焦らず、胆を決めて挑まなあ、ならんのだよ。

「キミらみたいに、年頃の、なんてお馬鹿なことに女の子がひとりもいない男子校に、なあにを血迷ったか入学してきた不憫な輩が」

 ワタシは心配でならないっ。

「おねいちゃんにまんまと騙されて、怖いおにいちゃんにやさしくボコられるようなことがないように」

 祈るっ。

 こころやさしき恩師は、ひたすら「祈って」くれるだけらしい。

「質実剛健」「独立自治」

 の気風は、まさにここに極まれり。
 ロクでもない知識を、こうして頻繁に、得られたのである。

 もしわたしが「茶店」に誘うことがあっても、だから大門をくぐらせる、という意ではなく、安心していただきたい。


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