「隙 間」

2009年05月04日(月) 竹林のトラトラトラと「夜の公園」

 本日は「みどりの日」です。
 上野動物園の入園料が「無料」です。

 抜け道代わりに年間パスを持っていた二年前、そのとき以来、久しぶりの入園です。
 もんのスゴい人混みです。

 ひとりで訪れている姿なぞ、ひとっこひとり見当たらないのは、当たり前です。

 池之端門から西園に入り、さくさくと東園に向かいます。
 連絡橋である「いそっぷばし」

 いそっぷぅぅぅっ。
 おおきくぅぅんっ。
 きずだぁらけのひぃろぉ♪

 スクール・ウォーズのではなく、「イソップ童話」の「いそっぷ」です。

 モノレールが通り過ぎるのを横目に渡り、東園へ。
 猿山にもホッキョクグマにもアシカやペンギンにも目もくれず、ずんずん目指します。

 トラの森。

 ライオン、ゴリラのエリアにあります。
 とにかく、ここもまたスゴい人混みです。
 人混みと竹林のすき間から、ようやく虎縞がチラッと、とそのとき。

 ギュッ。

 わたしの小虎を男の子の手が。
 かき分けようとしたその手、だったらしいのだけれど、予想だにしない奇襲に思わず「はうっ」と後ずさってしまいました。

 後ずさってできた隙間に、男の子はちゃんとおさまり、虎の居所を追いかけてました。

「グルルル……」

 背後から喉を鳴らしている音がして、男の子は「はっ」と振り返り、キョロキョロ見回した後、わたしを見上げました。

 わたしの腹に住む中虎の鳴き声です。

 なかなかしぶとく、鳴き止みません。
 昼飯をまだ食べてないんだもの、鳴いたって仕方ないじゃない。
 べつにキミをとって食うなんてことをするわけじゃないから、そんなに見ないで。

 すごすごと後ずさりながら、竹林の奥へと退散しました。

 上野動物園には現在、パンダはいません。

 リンリンが慢性心不全で亡くなってしまっているのです。
 代わりにレッサーパンダくんたちが、元気よく遊び回ってます。

 明日「こどもの日」は、こどもは入園料が無料です。
 閉園時間も夕方六時まで延長されてます。

 上野公園内では「こどもフェスタ」が開かれており、絵本の販売や、読み聞かせや、紙芝居などが催されてます。

 世界遺産に指定されるかもしれない「西洋美術館」内のカフェ「すいれん」は、外部から利用できる、パーラーのような雰囲気です。

 なかなか、楽しめるかもしれません。

 そして。

 川上弘美著「夜の公園」

 川上弘美が唯川恵の世界を書いてみたら、といった印象。

 夫婦とそれぞれの浮気相手と親友と、それらが重なり合い、重なり合ってはいるのだけれど、それは肌がピタリと重なっているのではなく、紙を宙で触れぬようにかざし、上空から見ると重なって見えているような感覚。

 男と女は、こころがぴったりと重なり合うことができないから、肌を重ね合ってそれを埋めようとしているところがある。

 触れなければ、不安だから。

 しかしそこでも、やはり男と女では重なり合わないところがある。

 男は、不安を解消したくて重ねる。
 女は、不安を確かめるために重ねる。

 そのすれ違いを、普段は男も女も気づかないように注意深くしながら、過ごしている。

 理性と現実がそうさせて、いちいちそんなことに目を向ける暇を与えない。

 現実でたゆたい続ける本能や感性に任せていたら、なかなかうまくゆかない。
 ゆくはずが、ない。

 リリと幸夫、リリの親友であり幸夫と関係をもつ春名、リリと春名のそれぞれと関係をもつ兄弟の暁と悟。

 なにひとつ、不満のないたしかな夫婦。

 いつから僕を好きじゃなくなったの。

 幸夫が最後までリリに聞けなかった言葉。
 リリ自身にも、「わからない」としか答えられないだろう、とうとう聞かれなかったその問いかけ。

 まだ文庫になっていない「風花」を、早く読んでみたいと思いました。


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