「隙 間」

2009年04月28日(火) ぐりーんきゃたぴらはんぎんぐつりー

 朝駅へ向かう途中の谷中霊園。

 桜色のトンネルは今はもうすっかり緑と木漏れ日のアーケードとお色直しをすましている。

 木漏れ日が目の前で、チカリと跳ねっ返ったので、おや、と目を細めてみる。

 鉛筆の折れた芯の先ほどの小さな芋虫が、宙で身をくねらせている。

 くにっ、くにっ。

 じいっと見つめているわたしに構うどころではないらしい。
 道の真ん中でもなし、しかし歩いていると胸の高さのところで身をくねらせているので、万事安全というわけでもなさそうだった。

 彼の虫が向かおうとしている先を見上げてみる。

 はるか高いところで枝葉がかぶさっている。だからといって、手ずから摘みとって大樹の幹に這わせてやるのもどうかと思った。
 幹に張りついたとして、そこから目指す枝葉まで迷わずにたどり着けることはおよそ困難極まりなくなるだろう。

 宙で真っ直ぐ上を目指せば自然にたどり着けたものを、いくつもの枝分かれした枝を選びながらゆかなければならない。
 しかも、行きに通ったわけでもないから、目印も見覚えも、見当もつけられない。

 ヘタをすると、たどり着くまでにさなぎになってしまうほど時間がかかるかもしれない。

 わたしは、ただ無事に元の枝葉に上り詰めることができるよう祈るだけである。

 そして、わたしは自ら地に下りて幹からよじ上っている芋虫のような気がした。

 麗らかな春の朝に揺れる。


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