| 2009年04月13日(月) |
「風に舞い上がるビニールシート」 |
森絵都著「風に舞い上がるビニールシート」
直木賞受賞作品。
へへん、なるほど直木賞ねぇ。
と、さらさら読み進めていました。
なるほど。 直木賞だわ。
なにがそう思わせたのか、わかりません。 ひとつひとつは、他愛のない短編のように思えました。
きっと行間の空白に、見えない特殊インクでなんらかの暗示が記されているに違いありません。
ふ、う、うおぉっ。
と、衝動が、走りました。
だけど、どこが、なにが、いいのかはわかりません。
泣ける話でもありません。 笑いころげる話でもありません。
胸ぐらをむんずとつかみ、絞り込むような話でもありません。
なぜでしょう。
たまたま弱ってるそのすき間を突かれただけなのか。
それがわかれば、わたしも、すぐに受賞作品が書けることでしょう。
昨日、根津神社の境内で、「広島風お好み焼き」と銘打たれた屋台のお好み焼きを、買ったその脇でもしゃもしゃと頬張っていたのです。
ひとり立ち食いで。
さすが「広島風」の「風」の字、そばが入ってないじゃないの、キャベツはたっぷりだけど。
歯に青のりが着こうがお構いなしに、たっぷりとふりかけていたので、やたらと口の中でもさもさします。
「あのお。カギ、届いてませんか」
店のおっちゃんに、小学生くらいの女の子が、不安そうな顔で駆け込んできました。
「あん? 届いてねぇよっ。なんのカギだ」
焼く手を止めずに、女の子の顔すら見ずに答えてました。
「自転車か。通ったところ、ぐるっと回ったんか」 「回ってるんだけど、みつからなくて」
泣きそうな、消えてしまいそうなか細い声。
「も一度、ゆっくり回ってみな。見つけたらとっといてやっから」
はい、と女の子は顔を上げて、泣かずにまたきた方へと姿を消してゆきました。
泣いちゃうと、何にもできなくなっちゃうものね。
おっちゃんは、そう気を遣って、女の子にいったのでしょうか。 泣くヒマを与えないような、ぶっきらぼうな口調で。
「見つけたらとっといてやれよ」
手伝いの若い兄ちゃんに、そう、言いつけてました。
ぶっきらぼうな口調で。
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