「隙 間」

2009年03月27日(金) 「生贄」とぽろぽろグズウズ

 佐藤亜有子著「生贄」

 先読した「ボディ〜」と抱き合わせにて手にした作品である。

 それ以上でも、以下でもない。

 暗闇の森の中、何者かたちから逃れる女。
 七つの鍵。
 七つの扉。
 現実の彼女と、
 彼女と出会い、
 恋をしてしまった男。

 最後の鍵で、
 最後の扉をあけるとき。

 迷走しているようにしか、思われなかった。

 教訓としやう。

 開きかけた白い花びらたちが冷たいしずくにうたれ、ぽつぽつと振れている。

 雲の上を見透かしたとて、今宵は朔夜。

 月明かりがなくば、迷走もまたしかるべく。
 ただ頬を伝ふのを、如何ともし難く、伝ふたびに幾度も拭ふだけ也。
ただ寒風の為せる業。

 はたから見ると、

 涙をボロボロ流し、鼻をグスグスすすって歩く男

 以外の何者でもない。

 おまけにぼうっと足取りが覚束ないのだから、ますます触れたくも、関わりたくもないに違いない。

 また、是非そうしておいてもらいたいものである。
 今はただ、溶け崩れるように、眠りたい。


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