鮭が、泳いでいる。 頭のなかを。
サケ、だろうか。 シャケ、だろうか。
鰆(サワラ)も、尾をビチビチと元気よく打ち振っている。
春に魚とは、なかなかアジなものである。
ヒラメが、平目でわたしを見やる。 なかなかの流し目である。
ブリは、寒鰤。 鰤大根も、なかなか乙である。 ちうちうと、大根に染みたつゆを吸い出して、口中いっぱいにひろげたい。
鍋からすくい出した切り身が、ほろっとほぐれるのが、いい。
熱々の湯気にあたり、顔がぼうっと火照るのが、さらに、いい。
忘れたくないのが、カキである。
バターで炒めるもよし、衣を振って揚げるもよし。 しかし、一番はやはり、殻で網で焼き、醤油をひと差しして、ちゅるん、といくのが、いい。
焼かずとも、檸檬をたらし、いただいてもいい。
春の茫漠とした寒夜に、孵る。
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