「隙 間」

2009年03月26日(木) 春夜に孵る

 鮭が、泳いでいる。
 頭のなかを。

 サケ、だろうか。
 シャケ、だろうか。

 鰆(サワラ)も、尾をビチビチと元気よく打ち振っている。

 春に魚とは、なかなかアジなものである。

 ヒラメが、平目でわたしを見やる。
 なかなかの流し目である。

 ブリは、寒鰤。
 鰤大根も、なかなか乙である。
 ちうちうと、大根に染みたつゆを吸い出して、口中いっぱいにひろげたい。

 鍋からすくい出した切り身が、ほろっとほぐれるのが、いい。

 熱々の湯気にあたり、顔がぼうっと火照るのが、さらに、いい。

 忘れたくないのが、カキである。

 バターで炒めるもよし、衣を振って揚げるもよし。
 しかし、一番はやはり、殻で網で焼き、醤油をひと差しして、ちゅるん、といくのが、いい。

 焼かずとも、檸檬をたらし、いただいてもいい。

 春の茫漠とした寒夜に、孵る。


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