| 2009年03月24日(火) |
「ボディ・レンタル」 |
佐藤亜有子著「ボディ・レンタル」
およそ十年ほど前の文藝賞優秀作である。
いわゆる援交・売春となにが違うのか。
自分の体を「モノ」として、自分と切り離して扱う。
私の肉体を私が持っている。
つまり、私の肉体の所有者が、契約し金を支払えば、その者が所有者となりかわる。
だから、なに。
である。
主人公のマヤが、そうしてどこへ向かってゆくのか、なにを空っぽの肉体を通して満たしてゆくのか、消化不良である。
尻切れトンボの気持ち悪さは、金原ひとみにはかなわないし、あれだけの毒素も、見当たらない。
ムツカシイところである。
マヤが東大生であることから、身近な地名が途中ちらほらと出現したので、ふむふむ、とあごに手をやることがあった。
特定の地名、商用名などを作品中で扱うのは、ムツカシイ。
それだけでイメージを伝えようとしても、それはただの思い込みであったり、受け手によって千差万別であったり、また、つまりは、単なる手抜きにしか過ぎなかったりする。
地名をだしたから、だから、なに。
これは決して、「根津」が出たのに「谷中」や「千駄木」が出なかったから不満なのではない。
断じて、違う。 違うと、思うのである。
固有名詞をだすからには、いわずともその必要性がどこかに潜んでいるべきなのである。
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