「隙 間」

2009年03月14日(土) おおもりかつ

 早朝から大森にゆかなければならなかった。

 イ氏のところで血液検査である。

 つまりは、血を抜かれるのである。
 本来、体内にあって全身をくまなく巡るべきものが、体外に失われてしまうのである。

 失われたものは、取り返さねばならない。

 外にあるものをもらえないのならば、なんとも思わない。
 もとより内にないのだから。

 しかし、内にあるものが失われるのは、なんとも嫌な気分になる。

 即座に取り返すつもりである。
 釣り銭以上に、とことん、である。

 この一週間、夜を断肉してきたのである。
 牛はもとからであるが、豚も鶏も、である。

 白身魚の焼いたのしか、肉の類いは口にしていない。
 揚げたのも、もちろん口にしていない。

 とくとくと試験管のなかに波立ってゆく有り様をみて、さらに強く思ったのである。

 大森の少しばかりの名店で、とんかつをいただいた。
 空腹の、完全に空っぽだった胃袋に、である。

 しかし、旨かった。
 老婦人ふたりで切り盛りしているようであり、あなどってしまいがちであったが、どうしてなかなか。

 とんかつは、偉大である。


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