「隙 間」

2009年03月06日(金) 影が嘯く(うそぶく)

 わたしにとっての逢魔が刻、夜八時は気をつけねばならない。

 誰そ彼。

 影が薄くぼんやりと、ながく尾をひいている。

 もっとも陽があるわけではなく、街灯か月光によるもののみだから、それのせいだといえぬわけでもない。

 毎夜のことながら、不忍池の弁天様の脇の下をなめるようにくぐって歩く。

 池のふちすれすれのところを、濡れそぼった野良が、わたしと並行して歩いている。

 誰そ彼。

 この柄模様は、うずらといったか何といったか、曖昧である。

 余所見してちゃアブナイよ。
 余所見だってかまうもんかい。どうせ行き慣れた道だから、勝手はわかってるさ。

 ふん、と鼻の向きを変え、植木のなかに消えていった。

 タッタッタッ、とジョギングをするひとがわたしを追い越してゆく。

 あっ。

 彼はわたしの影を踏んでいった。


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