「隙 間」

2009年02月21日(土) 「ボーダータウン 報道されない殺人者」

「ボーダータウン 報道されない殺人者」

 をギンレイにて。

 アメリカとメキシコの国境の街フアレス。
 自由貿易協定の名の下に、大企業の工場が集中して建てられ、安価な賃金と過酷な労働条件で就労しているメキシコの女性労働者たち。

「税金が払えないならフアレスで働け」

 彼女たちは、年間で「五千人は命を奪われているはず」だといわれているのに、一切が報道されることがない。

 レイプされ、殺され、埋められ、捨てられている。

 遺体が発見されても、犯人は捕まらず、報道はもみ消される。

 工場の送迎バスに帰りに乗った少女は、そのバスの運転手に、車内で襲われ、殺され、そして埋められたはずだった。

 が。

 彼女は息を吹き返し、お情け程度のごく浅い砂利を被されていただけだったのを幸いに、自力で逃げ帰った。

 ジェニファー・ロペス演じる記者が、彼女を保護し、記事に載せようと命を賭けて挑むが――。

 警察も、
 政府も、
 味方ではない。

 記事の差し止めに抗議に向かった彼女に、編集長がいう。

「ニュースはもう、報道じゃない。産業ありきの、エンターテイメントなんだ。記事を載せたらクビがとぶ」

 とぶだけではない。
 誤報道とした挙げ句、「なかったこと」になる。

 ――事実に基づいた作品である。

 男社会の採石場の街で働く女性たちの、理不尽な日々を描いた作品も、別にある。

 まちぐるみ、
 会社ぐるみ、
 社会ぐるみ、
 政府ぐるみ、

 の陰の悲劇は、現実にある。

「ナイロビの蜂」という作品も、これは被害者は女性だけではなく、難民キャンプに逃げ込んできた人々、という明らかな弱者を、巨大産業企業が食い物にする、という事実を扱った作品である。

「蟹工船」どころではない。
 彼らはまだ、闘えたのだから。


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