先日、真友から仕事で名古屋から東京に来るとの連絡をうけ、それでは、ということで宴席を設けることになった。
年末年始にわたしが風邪で寝込んでいたために、本来会っていたはずのその機会を逸していた。
今回、それが彼の方からの誘いであったので、きっと、それを埋めようと思い立ってくれたのだろう。
そのような気遣いすら、じつは彼との間には無きに等しいのだが、あった方がもっともらしく思われるのでそのようにしておく。
さて連絡をとり、西日暮里ホルモンにて炭を囲むことにした。
彼は出張帰りの途中ということで、いつも通りの大荷物である。 さらに、その日は一日中、仕事で歩き回っていたそうで、千葉県は野田から埼玉、神奈川県は座間までを回り、すっかりくたびれ果てているはずだった。
しかし、とりあえずはホルモンをまんべんなく食すことに集中する。
テッポウ、ガツ、タン、ハツ、カシラ、ギヤラ、ミノ、センマイ、ナンナン、レバ刺し、壷漬け一本ホルモンなど、品書きの上から下までをあらかた注文した。
唯一、一も二もなく注文したかったが品切れになってしまっていたハラミをいただけなかったのが、最大の心残りだった。
網の上で舞い踊る煙。 旨そうにしたたる脂。
どれが誰のということおかまいなしに、ひょいひょいと口に放り込んでゆく。
舌の上で脂の絨毯が広げられ、噛むたびにその上に、さらに脂が広げられてゆく。
まるで、のみの市の大盤振る舞いのようで、それよりもずっとありがたい。
とにかく食った。 満たされた。 最後の客になるまで、存分に食った。
まずは舌鼓を打ち、その後、ポンと腹鼓を叩いた。
結局、三時間ほどだらだらと食い、しゃべくったのだが、なにをしゃべくったのかは、肉の席ということで、ここでは煙に巻かせてもらおう。
あんなことや、こんなこと、そして、そんなことである。
そうして店を後にして、我が家に向かう。 くたびれ果てていたはずで、さらに大荷物であった彼を慮かって、わたしが荷物運びを多少なりとも手伝ったのかといえば、彼とは気遣い無きに等しい間柄である。
大事な物が入っているかもしれない鞄を、いくらわたしとはいえ、おいそれと手を出しては申し訳ないだろうと思い、自ら早々に辞退する旨をつたえておいた。
いわずとも、そこのところはくみ取ってもらえていただろうと思う。
部屋に着き、そして荷物を置くなり、ふたりそろって服を脱ぎ部屋着に着替えはじめる。
珍妙な光景ではあるが、気遣い無きに等しい間柄である。全裸になって着替えることがあったとしても、つと互いに背を向けて着替えるくらいの分別があるか、見て見ぬふりをわきまえている。
そうして、なんということがないが、ないことが当たり前の一日が明日を今日に変えるために、昨日へと変わってゆく。
肉と友は、よいものである。
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