| 2009年01月11日(日) |
「ああ、結婚生活」と肉饅再び |
親不知がジンジンと痛んでいた。 疲労やストレスによる免疫力の低下が為す災いであることは、とうにわかっている。
しかし、それ以外には何もない。 ないのだから、どうしようもないのである。
歯医者に行ったところで、炎症を起こしている箇所に消毒液を塗り、痛み止めの薬を処方してくれるだけ、ということもわかっている。
切開して親不知を除去することは、歯科医としてあまり勧めることはできない、と診断されたことがある。
地元で評判のいい、歯科医院での話である。
免疫力といえば、短絡的にビタミンの類いを補給するべし、と思い込んでいるところがあり、だからその類いが多分に含まれているとうたわれた飲料をいつもの珈琲の代わりに飲むようにしてみた。
もし明日になっても痛むようなら、千駄木のいつもの歯科医院にゆくことにしよう。 担当はいつも、うら若き女性医師のはずだ。
あごの外側から歯茎越しに、その炎症を起こしている内部に真横に向かって生えている親不知の辺りを強く押さえ、膿の類いを口中に吸い出すようにして過ごした。
さて今朝。
効を奏したのか、痛みはほぼおさまりそうな気配だった。 これでわざわざ歯科医院にゆくのも、なんだか惜しい気もする。
治療よりも栄養補給である。
賢明な判断力をもってして、わたしは家を出た。
色気より食い気である。
本郷、小石川を抜け、神保町へ向かい、本を物色す。
さて。
「ああ、結婚生活」
をギンレイにて。
五代目ジェームス・ボンドをつとめたピアース・ブロスナンが出演していた。 わたしは彼を贔屓に思っている。
「隣に眠るパートナーの本音は、誰にもわからない」
本音なぞ、そう簡単にわかってなるものか。 わからぬからこそ、わかろうとしあいながら共に生きてゆこうとするのであろう。
内容よりも、作中に流れるトランペットとベースの音楽が、とても心地よかった。 つまりはジャズというものだったりするのだが、むろん、それだけではない。ただそうとわたしが思っただけのことかもしれない。
ここ神楽坂まで来たのだから、先日の積念を晴らすべきと思い、「五十番」で肉饅を買い、行儀が悪いと思いながらも、ひとつだけ食べながらの蒸したてにしてもらった。
北風が冷たい。 だが、肉饅は温かい。 溢れ出る肉汁に気をつけながら、色川武大氏もかつて過ごした神楽坂界隈を抜けてゆく。
色川武大氏とは、戦後「雀聖」と呼ばれ、またその経験をもとに「麻雀放浪記」を執筆した阿佐田哲也氏のことであり、奇縁なるかな、わたしと同病相哀れむ、という方でもあった。
脱線してしまったが、色気より食い気を選んだことが、吉とでるか凶とでるか。
肉饅の肉汁をすすりながら考える。
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