突然ですが。
女性の涙は、わたしを、ぽっかりと空洞にさせます。 からっぽのがらんどうになるものだから、その空洞に、思う存分、跳ね返り、揺さぶり、わたし自身をたいそうおぼつかなくさせ、おぼつかないわたしを、ただなんとか一定のところに落ち着かせようと思うのだけれど、おぼつかないものだから、当然、手元も思考もおぼつかなく、どうしようもないやるせなさとせつなさと歯がゆさと、だからやっぱりやるせなさに途方に暮れてしまうばかりになります。
そらさん、いや、小西さんのただ泣き崩れる姿を前に、ただただわたしは、真っ白な空白の世界で、出口のドアの絵を描こうとしてみても、真っ白な世界にあるペンキも絵の具もペンさえも、それはすべて真っ白しかなく、いくら描こうと、描けた気になるどころか、カベなのか宙なのかさえもわからなくなって、やっぱり、途方に暮れてました。
昼休み、斜め向かいに同僚先輩らと昼食に丼屋に来たらしい若き女性がいました。
わたしは目を奪われてしまいました。
ガツガツ、もぐもぐ。
どんぶりをよいしょと持ち上げて、かき込んで、ほっぺたを膨らませて、小気味よいテンポで、食べてゆきます。 ときおり味噌汁で、ズズッ、と流し込み、そして。
……さまでした。
手を合わせ、ぺこりと軽く頭をたれ、
さ、いきましょっか。
同僚先輩らと、サッと席を立ってゆく姿。
こころを、奪われました。
黒髪の、しゅっとひとつに束ねた、ほそおもての女性。
気持ちよい食べ方は、見ている人間を、幸せな気持ちにさせてくれます。
がむしゃらにほおばるだけじゃあ、ないんだな、これが。
なんだか、おぼついてない、ようです。
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