「隙 間」

2008年11月23日(日) 「ぼくの大切なともだち」と「森の中のママ」

「ぼくの大切なともだち」

 をギンレイにて。

 あなたの葬儀には、誰一人こない。
 なぜなら、あなたには友達なんていないもの。

 ギャラリーの共同経営者にそう言われる。

 十日間のうちに、親友をわたしたちに紹介して。でなければ、あなたが落札した品物をいただくから。

 フランソワは翌日から友達探しをはじめるが、誰ひとり、彼を友達だなんて思っている人間はいなかった。

 傲慢、自惚れ、最低のクズ野郎だ。

 自分の何がいけないのか、友だちとはどうやってつくるのか。

 フランソワの友達探しに同行していたタクシー運転手のブリュノが、フランソワに親身になって協力してくれ、やがてふたりは友情で結ばれてゆく。

 はずだったのが、

 こんな賭けをすること自体、友だちがいない証拠。
 愛に証拠はない、ただ愛があるだけ。
 わたしはあなたと、友だちになりたかった。

 賭けのことを知らされ、ブリュノは友情だとしんじていたものを裏切られ、失意の底に落とされる。

 ブリュノはクイズ番組の最後の問題で、ライフラインの「友だちに電話」で、迷いながらもフランソワの名を選ぶ。

 司会者の「お友だちですか?」の問い掛けに、

 答えを知っているだけの人です。

 と答える。

 僕はきみにとってたくさんいるキツネの一匹だけど、互いになじめば、かけがえのない関係になれる。

 フランソワは、裏切りの謝罪と一緒に「星の王子様」の一節をブリュノに伝える。
 この一節は、ブリュノが書き留めていた大切な言葉だった。

 ブリュノはフランソワが教えてくれた答えを選び、見事に賞金を手に入れる。
 その姿をひとりテレビの前で眺めながら、ブツンとテレビを消すフランソワの背中。

 一年後、フランソワの誕生会に、ブリュノがひとり現れる。
 裏切って、クイズで電話で謝罪して以来の再会。

 彼は誰だ?
 パパの親友よ。

 フランソワの娘が、誇らしげに笑顔で答える。

 朝のセーヌ川。
 フランソワとブリュノ。

 賭けるかい?
 友だちとの賭けはこりごりだ。

 フランソワは笑って応える。

 ……。
 よしにつけあしきにつけ、できることとできないこと、応えられること応えられないこと、それらが、次第にはっきりとした線で見えてしまうようになってゆく。

 こう言えばこう答えるだろうから。
 こうしとけばこうは答えないだろうから。

 そのまんまに運んでゆき、怖くなったことがあります。

 わたしはそんな立派なヤツじゃない。

 と、すぐさまぶっちゃけるヤツです(笑)
 そして、妄想家です……。

 さて。

 井上荒野著「森の中のママ」

 何の関係もないコーナーの平台に、ちょん、と無造作に置かれていた本でした。
 さらっと手にとって、読後、むむう、と思わされました。

 なんとなくこんな感じ

 という作風のイメージがあったのだけれど……。

 うぎゃ。

 裏切られました。
 こんな顔もあったのね。

 一方的なイメージの押し付けは、やはりよくないです。

 井上荒野作品に、さらに興味が湧いてきました。

 読むべきときに読んだ感がたっぷりです。

 だてに

 わたしはここにいるっ!

 と、たったひとり、面をあげていたわけじゃあ、ありませんでした(汗)


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