夢見る汗牛充棟
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「透明」
高い昼間の空がリンと鳴ります
風の子供が戯れに 硝子の鈴ひとつ
天の高みに置いたのです
(風の子供が手にとりて)
ふるりふられた 鈴の音清ら
切ない青透明のかなたへ届けと
祈りにも似たその音は
ひたすらに飛翔を続けるので
追いかけるこころもいつしか
ほんのり寂しいいろに染まるのです
澄んだ夜空がシャラと鳴ります
天の楽師が帽子に受けた銀のお金が
縁からあふれてこぼれたのです
(天の楽師はいいました)
あれらは星になりたかったのだね
星になりたい銀のお金は
無限に見える闇藍色の果てまでも
懸命に転がり昇るので
捕らえようと伸ばした手はいつしか
ほんのり哀しいいろに染まるのです
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