夢見る汗牛充棟
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「砂粒」
何気なく空を見た
嗅いでみた空は 仄かな匂いがした
過去にも未来にも眺めた空だ
青が眼球をまさぐる
振り返った懐かしさも はるか先の不安も
容易く暴き立てる音楽のようだ
空には白い雲がはいていた
刷毛で一筋こすったようで
かすれた線の向こう側にも青い空は
続いていた
その広がりを思ったら嬉しい気がした
けれどそこに行き着けないことを
思い出して 直に哀しくなった
ちっぽけな魂のひとつなぞ きっと
輝きもしない砂粒なのに
砂粒のこころはなんでか痛い
しくしく痛むから べそをかいた
最近は 涙腺の蝶番が壊れたのか
やたらと泣きたがりな 私がいる
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