夢見る汗牛充棟
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2000年01月10日(月) 移ろいと忘却

「移ろいと忘却」


いつも雨だと思っていても

いつのまにか雨でない日が増えて

いつか空は曖昧を失って

鮮やかな夏の色になる


いつも自転車で通る道端の紫陽花は

いつか かさりと色褪せている

忙しい時間をじたばたする私は

それを目の端に捉えながら

通りすがりに少しだけ胸が痛い


曇りがちだと少し憂鬱だった日々

ひとの心は他愛もないし

それは 梅雨だから仕方のないこと

けれど物静かな雨にさようならして

これからしばらくぎらぎらした夏なのだし

そんな鮮やかさに炙られて

薄暗い灰色はちいさくほそくなってゆくばかり



その日

わたしは 空を見ただけで

浮き立つような気持ちになった

ごめんなさい

あたしは 大きな画用紙いっぱいに

紫陽花が描きたいと思った


恵 |MAIL