夢見る汗牛充棟
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2000年01月09日(日) ちいさなうた いろいろ

小さなうた


★君しらず 放つ礫が われを研ぎ 日々すまされる やいば鋭し


★降る雨の 野山に落つる 滴さえ いつかは海へも 行けましものを


★ただありて なにものこらぬ 日々のなか 拾いて記す はざまの繰言


★おもしろし 泥中のもの 天のもの 二人を分かつ 線をひくもの


★そのツラを 拝みたくなし 下の身の かしこみて見る 板敷きの目


★咲き初めてかすかににおう枝先の桜が教うめぐるひととし


★まだしらぬ 明日を今日にし 今日をまた 昨日に変えて 生きてゆく我


★飢え乾き 食らえど満てぬ わが身より 清らかなりし 花を食う鬼


★かみわすれし こころによどむ虚ろさを 知るほどに欲しき 海山や空


★つかれても 慰むうたのひとつなく くらきを抱え ひとり寝る夜


★ひとならば もっとかなしい おにならば もっとやさしい わたしなんなの


★手をのべて 確かめてみても ゆめのようで かなしくさむい 君の手触り


★ひとだけど おもわずしらず あがかずに いきておわれる われならいいのに


★たわむれに てんがたおりし 一花を 忍びしつちの なげきこそしれ


★ちらばこそ美しきものといわずともよいからきみがありさえすれば


★なきひととしりつつなおもなきことをおりにふれてはおもいしるわれ


恵 |MAIL