夢見る汗牛充棟
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2000年01月08日(土) わし

「わし」


1.
素朴な朝のひかりのなか わしは祈った
「わしら 存在するだけ 罪深いですか
けれど わしら 生きたいのです 死にたくはないです
ほしよ わしら ゆるしてくれますか」

衣を着替え 食卓で味噌汁すするとき
わしは もう迷わない
わしは ほしをいじめにでかけてゆく

月の無い夜の床で わしは祈った
「わしら わるいこと いっぱいしました
けれど わしら まだほしいです
しあわせになりたいです
ほしよ わしら ゆるしてください」

闇の中で てをあわせるわしは
気のよく 無垢なもののふりをして
ちいさく よわく おののいていた

そして よくあさまでは きよらかなる わし


2.
朝 起きる
夜 眠 る
そうして わしらは また次の日 目覚めます
世界が 住み良くないと 嘆きながら
一生 夢の中にいられたらと
言葉を紡ぎながら
わしらは 朝のひかりに おしげもなく
まぶたの裏にはりついた ゆめを
くずかごへと ほうりこみ
いきおいまかせに 布団を 蹴飛ばしてゆく
めんどくせえ とつぶやきながら
奇妙に いそいそと 服を着 身体をととのえ
奇妙に 嬉しそうな顔をして 階段を下り
食卓へむかいます


3.
わしは ひとの幸せを ねたみます
ひとひとの ばいの幸せをと いのります
わしは おのれの生命を あいします
ひとひとの生命を あいするよりも
それはつよいです
わしは てまえかってなわしなので
わしは ほしに いのります

(当然 わしが しあわせであるという前提のもとに)

せかいじゅうのひとひとがしあわせでありますように…と


恵 |MAIL