夢見る汗牛充棟
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[87] 日々 投稿者:もけ 投稿日:2004/03/08(月) 21:17:32 [返信]
そらをしらないのに そらのあおをかなしみ
うみをしらないのに うみのふかさをしたい
ひとをしらないのに ひとのあおさによう
おもいをしらないのに おもいのいずみにしずみ
たましいをしらないのに たましいのいろあいをあわせ
ことばをしり うたをしらず ことばをさり うたをねがう ■
[88] よいのあと 2004/04/08(木) 11:05:11
かぜはらい さくらはちり はらはらとちり さざめきおこり わらいうたえり そのうたによい さかずきにくみ さけにうつろう おもひでともに はなびらをのむ かさねがさねに さくやのあかり うたげのおわり きのうへおくり うつつへかえり おしみてさらん すいきょうのゆめ
■
[89] ゆるむ 2004/04/11(日) 23:34:52
偶々月が頭上にある
したたり落ちそうなあやふや
そんなことで保てるのか
髪をなぶる散漫な荒くれが
遠くからやってきて
生ぬるい砂埃が戸を叩く
あれはうすぼけて今にも壊れそうだ
目を瞑り耳は塞ぎそして知る
冷えた土がぬるみゆるみ
みなこぞってぬかるみを
這いずりはじめる気配
融解の季節
静謐に固まっていたよろずが
なしくずしに息をはじめて
混じりあい収拾を忘れて
蠢く おと
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[90] ほとほと 2004/04/15(木) 22:29:00
うすうすぐもり やわやわにじみ つきつきあかり ぼやぼやかすみ しみじみうれし うつうつのとい さらさらわすれ さやさやとふけ ふるふるあめと やうやうたどる くさぐさのおと うとうとききて ほろほろかさね ゆらゆらあそぶ うまうましさけ
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[92] 疵 2004/04/22(木) 23:06:36
なにが足りなくて どれが多すぎて 持て余しているのだろ 世界は乾いていて 雨をずっとまっていると わたしは言った 世界は雨が多すぎて ゆるゆる腐ってゆくと あなたは言った 嬉しいと笑うほどもなく 哀しいと嘆くほどもない 道をただよこぎるだけで 誰がどうして血を流す
手にしたチョークで 何が描けるのかと あなたは言った 未来など片手で消せる 路上の絵だけれど 画家とメアリーは 素敵な旅をしたのに あらゆるすべては 幻だと思っても どんな風に歩いたひとの 後姿も頼りなくて どうしたらいいのか わからないふりをして わたしの刃は誰を刺した
世界を持て余して 虚しく愛を祈る 足りないものが うつくしいものを生み 欠けたものが かなしいものを儚む ゆるゆる腐る前に 天も地も確かであれと 祈る両足と 言祝ぐことばだけ 空しくないといいと 叫びながらひとつまた どこに屍の山を築いた
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