夢見る汗牛充棟
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2000年01月05日(水) うたまとめ 5


[70] いわいことば  2003/11/18(火) 21:27:24

大丈夫?元気出してと
伝えるのは難しくて
頑張れというのは
尖ってちくちく痛いから
この小箱のなかに
いわいの祝詞があればいいのに
なんだかずっと探しているのに

カモマイル ラベンダー
温いミルクにブランデーの滴
赤ワインにひとすくいの蜂蜜
背中を撫ぜる優しい手や
耳に伝わる内緒の吐息は
言葉よりよほどやさしい魔法で

それでもなお
たとい月ほど遠くとも
ひと飛び届けばとびきり幸せ
そんな祝詞があればいいのに




星をいただくこと 2003/11/22(土) 17:48:08

苦しみながら言葉を削る
詩人さんは
くらい空に果てしなく星を
生んでいます
あらゆる星の火のようです

その飛散する火花によって
わたしの洞も刻々灯り
色とりどりの空にかわります




[71] 夜明けに徒然  2003/11/22(土) 17:15:52

あそびせんとやうまれけむ
たわぶれせんとやうまれけむ
あそぶこどものこえきけば
わがみさえこそゆるがるれ
ほとけはつねにいませども
うつつならぬぞあはれなる
ひとのおとせぬあかつきに
ほのかにゆめにみえたまふ

聞きおぼえた好きなうた
かつてのあまたのひとの
かなしみより来るいとしさを
今日もしり明日もしれども
塚山まろくちとせに増せども
幾多の骨埋むくに立ち
なお毅然として首をあげ
今もしきりとうたうひと
今もしきりとうたうわれ
ふりしぼる力の源流は
決して枯れることはない


夜明けにつれづれ  2003/11/22(土) 17:18:45

浮き上がる瞼の裏側に
僅かにかあはれとどめる
明けのひととき

ひとのさすらいうしなう
ことわりかなしも闇のうち
漸く訪れた微笑みやら
仄かな夢のいろもはや
暁ほどに鮮やかでなし

うつつのほのほに炙られつつも
好んで歩むがわれならば
ほとけはあとにあればよいかも
ふと立ち止まる宵のほどには
まぶたに触れるほどの遠さで



今がいちばんいい  2003/11/26(水) 22:54:40

雨の次の日には
そらにとろけそうな
あおい円錐を
白がせっせと浮かべる
ようやく冬になるのかな
銀杏の葉もすこしだけ
明るくなったみたいだし
海っぱたの道はますます
風を強めていくかな
どんな冬でも走っていくのは
おんなじだけど
またしばしのおつきあい



明日は晴れらしい   2003/12/01(月) 20:38:58

12月の男のお披露目は
夕方5時のまっくろ外套
街路樹に瞬く人造の星
道路に溢れる流星の群
眩しいから眩しいから
ほんものが見たいのにな



[74] かえりみち    2003/12/04(木) 23:15:31

くらいみち くらいまち
電燈のひかり溜まる砂利の道
かげがわたしをくるくる廻る
静かな夜のかえりみち
どこからただよういいにおい
レースの向うにうれしい明り
たったひとつのおうちを目指し
わたしとかげがくるくる廻る
まだまだ遠いかえりみち


恵 |MAIL